天坊昭彦・石油連盟会長(出光興産会長)--“補助金漬け”には疑問、再生可能エネルギー開発
つまり、石油に代わる競争力のある、使い勝手のいいエネルギーはほかにはないということだ。太陽エネルギー、バイオなどは一生懸命やっても微々たるものでしかない。
そんな実情なのに、石油の安定供給が大問題になるのは、大災害時や原発が停止したときぐらいだ。マーケットに翻弄されて石油価格が上昇しても、ガソリンスタンドに行けばガソリンがあるのは当たり前と思われている。
--石油の安定供給への不安は、増大傾向にあるのですか。
生産地から原油を運び、日本の製油所で精製して油槽所へと移し、さらにスタンドへ運んで供給する。こうしたサプライチェーンがつねに健全に機能していなければ、安定供給を守れない。
日本では石油需要が減退している。そうした中で、今までと同じように競争していたら、どの石油元売り会社も儲からない。このままだと、いずれ供給体制が維持できなくなり、穴が空いてしまう。
いちばん言いたいのは、安定供給の確保が問題になっているときに、エネルギー政策を「市場任せ」にしておいていいのか、ということだ。
--民主党の政策の中には、高速道路無料化、ガソリンの暫定税率廃止が盛り込まれました。ガソリン需要の拡大にもつながりそうな、これらの政策には賛成ですか。
高速道路の無料化は、社会コストを安くする一つの方法ではある。特に、個人より企業のほうに無料となるメリットは大きい。日本は国内の物流費が高いから、海外へ投資しようという動きがあるわけで、そういう点での一解決策になるかもしれない。ただ、あれだけの道路を維持していくには膨大なコストがかかる。無料にしたら、この原資はどこから出てくるのか……。道路のメンテナンスをいいかげんにしたら、すぐに事故も起こる。30年以上経った高速道路を維持するわけだから、本当に無料で大丈夫なのか、疑問だ。