(最終回)強いストレスを受けたときの対処

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おわりに

 10回にわたり、ビジネスパーソンとしてのストレス対処のコツを紹介してきた。医師、専属産業医、医科大学の教員、そして現在の会社で提供している企業向けの健康管理サービスを通して、多くのビジネスパーソンのストレスやメンタルヘルス不調の問題にかかわってきた。その中で思い知ったのは、健康問題や健康管理に関する情報が正しく伝わっていないことや理解されていないという現実だった。
 職場やプライベートでストレスを受けた際、ストレス反応が起きる。それが高じて、心身の不調に陥ったり、行動による問題を引き起こしたりしてしまうことがある。本連載で、ストレスが感情的な反応であることを知り、その影響を理解した上で、ストレスを和らげること、生活習慣を工夫したり、周囲の支援を得てストレス反応を弱めること、不眠のような問題はきちんと治療を受けること等を、ビジネスパーソン向けに解説し、紹介してきた。

 サブプライムローン問題からの経済不況により失業率は5%を大きく超え、6%に迫る勢いだ。株価は回復傾向だが、実態経済は反映されてはいない。安価で良質な製品によって世界を席捲してきた日本の製造業のビジネスモデルの根底が覆されつつあると言われている。グローバル化の影響が我々の暮らしの中でもあらわになってきたのだ。
 安定した老後はもはや消失し、給与や雇用条件は悪化の一途かもしれない。これからの時代を担うビジネスパーソンは、職場での仕事や日常生活に流されるだけではいけない。そんな厳しい状況だからこそ、これまで紹介してきた様々な対処法を主体的に活用して、変わりつつある時代でもストレスに負けず、活力を維持してほしいと願わずにいられない。

 最後に本連載を読んでいただいた読者に感謝の意を表したいと思う。
 どうもありがとうございました!
2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

詳細およびご購入はこちらから
亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。
亀田 高志

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