ブリヂストンが放つ“ランフラット"の可能性、パンクOKの新タイヤが勢力図を塗り替える!?
タイヤ業界で地殻が動いたのは、実は1世代も前になる。長く主流だったバイアス式が、新方式のラジアル式へ取って代わられたのがそれ。「グローバル30」と呼ばれた大手30社が「グローバル10」へ集約。
そこからブリヂストン、仏ミシュラン、米グッドイヤーの3強時代を経て、グッドイヤーがズルズルと後退。ここ数年はブリヂストンがシェア17%超で首位に躍り出たが、2位ミシュランとの差はほんの僅差にすぎない。
それが、この第3世代ランフラによって、ブリヂストンがミシュランを突き放し、一強体制に近づくチャンスが一気に開けてきた。
タイヤビジネスにはそもそも、新車組み付けタイヤと取り替え用タイヤの二つがある。そのうちメーカーが売上高の75%を稼ぎ出すのが取り替え用タイヤ。利益ではほぼ100%を担う屋台骨だ。
だが取り替えタイヤの価格は恒常的に年2~3%ずつ下がっていく。そこでメーカーは数年ごとに新製品を出し、価格修正してきた。これまでは、スポーティで見た目がよく、高価格を設定できるハイパフォーマンスタイヤ(HP)が新製品の目玉だった。だが、もはやその目新しさは薄れ、この不況もあって、嗜好性の強いHPはさっぱり売れなくなっている。
そんな停滞ぎみの市場に、再び活気をもたらす起爆剤に化けそうなのが、斬新な特長を持つランフラなのだ。「新たな付加価値の登場で全体の価格が根本から押し上げられ、メーカーの収益性も維持されていく」と松本氏は読む。
懸案の乗り心地を改善 台風の目は米国市場
初代のランフラは、そもそも身体障害者向けに開発された。鳴かず飛ばずの時代が長く続いたが、最大の敗因は、乗り心地の悪さだった。補強ゴムのせいでどうしても硬く感じ、縦バネ指数に見る初代の乗り心地はノーマルタイヤに比べ20%も劣った。重量も重く、転がり抵抗も高い。ところが2005年、独BMWが3シリーズへの標準装着を決定してから、風向きは大きく変わった。
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