ブリヂストンが放つ“ランフラット"の可能性、パンクOKの新タイヤが勢力図を塗り替える!?

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また、人気のハイブリッドカーは今後、小型化が進む。電気自動車や小型燃料電池車の登場も近い。車重を軽くし、かつモーターや電池、水素タンクを載せるなら、スペアレス化=ランフラ標準装着は大きな選択肢になる。エコカーへの時代のうねりは、ランフラを一躍時代の中心に押し出すかもしれない。

ブリヂストンは今秋から第3世代ランフラを新車に装着していく。さらに、新たな稼ぎ頭となる取り替え用ランフラも「来年には発売していきたい」と富岡室長。新車用、取り替え用合わせたブリヂストンのランフラ出荷量は08年で325万本とまだ全体の2%弱だが、今後10年で7倍に増やす意気込みだ。

たとえばBMW車のランフラはサマータイヤが装着されているが、オールシーズンタイヤが好まれる(トレッドのパターンも乗り心地も異なる)米国では「取り替え用オールシーズン型ランフラの潜在需要は極めて大きい」と富岡氏は見積もる。

ここで重要なのが、最大のライバル、ミシュランの動静だ。ミシュランは補強ゴムとは別方式で「PAXシステム」というランフラを作ったものの、現在は開発をほぼ中止している。PAX専用のホイールが必要なため、ホイールを選ばないブリヂストン方式に勝てなかったというのが大方の見方だ。ここに、ランフラをテコに、ブリヂストンが宿敵を大きく引き離す余地が生まれる。

課題は価格だ。本格量産前のランフラは、ノーマルタイヤよりまだ2~3割高い。200年ぶりの技術革命が、100年に一度の経済危機に打ち勝てるかどうか要注目だ。

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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