最新!社会貢献支出の多い100社ランキング 1位トヨタ216億円、支出比率はファンケル

✎ 1〜 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 43 ✎ 最新
拡大
縮小

このように利益の一定水準を社会貢献に使うというのはわかりやすい基準だ。実際、日本経済団体連合会(経団連)設立の「1%(ワンパーセント)クラブ」では「経常利益(法人)や可処分所得(個人)の1%以上を目安に社会貢献活動に支出しよう」と呼びかけ、身の丈にあった活動を推奨している。

ちなみに今回のランキングでは同率で3社並んだ77位の伊藤ハム、三菱商事、損保ジャパン日本興亜ホールディングスまでが1.0%以上だった。これから社会貢献を行おうという企業はぜひ目安として使っていただきたい。

614社の合計は779億円まで拡大

さて、3年間データが取れる614社の社会貢献支出額の合計は、2012年度1937億円、2013年度2057億円、2014年度2066億円と支出額は増加傾向にある。特に寄付金支出が2012年度668億円、2013年度753億円、2014年度779億円と拡大。景気回復とともに寄付を行う企業が増えているようだ。

最後に東日本大震災の被災地復興支援についてまとめておく。小社の調査(有効回答858社)では2015年6月末時点の大手企業の復興支援の状況は「行っている」53.6%(460社)、「行っていない」43.9%(377社)だった。

1年前の同じ調査(有効回答は同じく858社)では2014年6月末時点の大手企業の復興支援の状況は「行っている」54.0%(463社)、「行っていない」43.4%(372社)と微減だった。2011年夏時点で、有効回答771社中94.7%(730社)が何らかの支援活動を行っていたことに比べると減少傾向だが、継続的な支援は続いている。

企業の社会貢献活動は復興支援だけでなく地域のイベントや文化事業の開催・後援、海外の貧困削減などテーマは数多くある。国連は昨年9月に貧困など世界の課題を2030年までに解決するための目標であるSDGs(持続可能な開発目標)を採択した。

この中には「貧困をなくす」「質の高い教育の提供」「ジェンダー平等の実現」「誰もが使えるクリーンエネルギーの実現」「持続可能な消費と生産の確保」といった17の目標とそれぞれに設定された合計169のターゲットがあり企業の積極的な関与を期待している。

グローバルな課題解決を企業に任せようという動きはさらに強まっている。ビジネスとして行えるものだけでなく、「社会貢献」とされる分野でも同様だ。本業以外の活動をどのようにバランスよく取り組んでいくいか。企業の「本気度」が試されている。

岸本 吉浩 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きしもと よしひろ / Yoshihiro Kishimoto

1996年東洋経済新報社入社。以来各種企業調査にかかわる。『CSR企業総覧』編集長として、CSR調査、各種企業評価を長年担当。著書に『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』など。2023年4月から編集局記者、編集委員、『本当に強い大学』2023年版編集長。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT