2011年3月11日に起きた東日本大震災から5年が経った。被災地の復興はまだ道半ばだが、大手企業などの復興支援は続いている。企業は利潤を追求することを目的としているが、従業員や取引先や環境などに配慮した節度ある稼ぎ方、そして地域社会の一員として「よりよい社会」となるための活動も求められる。
実際、多くの企業は各社の理念に基づきさまざまな社会貢献活動を行っている。今回は『CSR企業総覧』2016年版(東洋経済新報社)に掲載する各社の社会貢献活動支出額と支出比率のランキングを作成。被災地への復興支援を含めた社会貢献の取り組みについてご紹介しよう。
トヨタは2位以下を大きく突き放す
まず、2014年度の社会貢献支出額のランキングから見ていこう。トップは前年度に引き続きトヨタ自動車の216億円。2012年度137億円、2013年度224億円と2位以下を大きく引き離すケタ違いの支出を続けている。
トヨタは「社会・地球の持続可能な発展への貢献」を基本に本業での貢献以外にさまざまな社会貢献活動に取り組んでいる。特に豊田市などの園児を招いての「幼児交通安全教室」実施や「在日ブラジル人向け自動車整備技術修得コース」のポルトガル語での開設といった自動車メーカーならではの活動は多い。
文化面では地域住民を対象とした環境教育プログラム「トヨタの森」、子どもたちに夢を持つことやチームワークの大切さをアスリートが伝える「MIRAIへつなぐ『夢の教室』in豊田」、車両評価や生産技術の仕事を体験し働くことの大切さを学ぶ「職業体験プログラム」、地域のアマチュアオーケストラとともに各地で開催する「トヨタコミュニティコンサート」など一般向けの事業も多数ある。
世界最大の自動車メーカーとして海外での取り組みも幅広い。南アフリカでは従業員の健康維持の一環としてエイズ対策を推進。日本・韓国の高校生の留学支援、日本に関心を持つ優秀なフランスの学生の日本訪問支援など、国内海外問わず多くの活動に取り組んでいる。
東日本大震災の復興支援活動も継続している。トヨタ自動車東日本でのコンパクトカーの製造、トヨタ東日本学園での人材育成、スマートグリッド技術を活用した農商工連携事業など本業と組み合わせた貢献にも積極的だ。
2位JTは教育・文化など幅広い
2位はJTの89億円。森林保全活動「JTの森」を地元行政・森林組合・地域住民等とともに実施。経済的理由で大学進学が困難ながらも優秀な学生に学費の 給付などを行う「JT国内大学奨学金」、国内のプロオーケストラが主催する公演への助成や楽団員の海外研修や自主公演の支援など地域・教育・文化まで幅広い分野での取り組みを行う。
海外では児童労働の防止と撲滅を目指す「ARISEプロジェクト」をマラウイ、ザンビア、タンザニア、ブラジルで実施。2014年1年間で児童労働から開放もしくは免れた子どもは5479人に上る。他に葉たばこ農家コミュニティの生活環境・暮らしの改善支援、フードバンク活動や高齢者・障害者への支援活動も行う。
被災地には基幹産業である農業復興への貢献を目的に自社で開発した米の品種を権利とともに陸前高田市へ寄贈。同市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の育成で、産地銘柄品種登録の支援、原種栽培と管理、農家への栽培に関する助言もしている。
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