メジャースタジオ勤務で感じた“純ドメ”日本人の強みと弱み《ハリウッド・フィルムスクール研修記4》
また、脚本に関する感想を聞かれるようなときでも、英語での表現力が乏しいため微妙なニュアンスを伝えることができず、苦しい思いをします。
私の上司は国際部門の担当ということもあり、外国人に対して寛容でした。しかし、業務時間内では効率的に1分1秒を無駄にせず働いているため、私のほうが負い目を感じてしまい、だんだんと日本人の得意領域である「読み・書き」を使った業務が中心になってきます。
ざっくばらんにブレーンストーミングをするよりも、資料をあらかじめきちんと準備して、読んでもらうほうがお互いにとって効率的なのです。
渡米して1年が過ぎたにもかかわらず、間違いが許されないビジネスの場では自分の英語力がまだまだ通用しないことを痛感しました。
“純ドメ”日本人の強みとは
しかし、2カ月の勤務を終えた今、不思議なことに私の中では、「焦り」や「落胆」よりも「自信」のほうが大きくなっています。それは語学力では圧倒的な差のある帰国子女や日系人に勝りうる、“純ドメ”(純ドメスティック)である自分なりの強みを見つけられたからだと思います。
ひとつは「日本文化への理解」。たとえば、スタジオの国際製作部門には日本に関連する脚本の売り込みがあります。ストーリーとしての完成度はプロのReader(脚本を要約し、評価を行う下読みの専門家)が判断することができます。ただし、そのストーリーが日本でヒットするかどうかは彼らには判断しきれません。
たとえば、今夏日本で大ヒットした「ROOKIES(ルーキーズ)」。80億円強という興行収入はハリウッドにとっても驚きだったようです。職場でも複数のアメリカ人から「なぜ、High School Baseball 程度のドラマがこんなにヒットしたのか?」と理由を聞かれました。