ドイツ発「自家製インスタント記事」の実力 サムスンとの協業でFacebookに対抗

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アクセル・シュプリンガー社の元エグゼクティブ・バイスプレジデント、ピーター・ベルテンベルガー氏とそのチームは、ほかのニュースアグリゲーターにはないものを携えて、サムスンにアプローチしたと語る。というのも、サムスンは彼らにとって魅力的なパートナーだった。スタティスタ(Statista)社の統計によると、英国のスマートフォン市場におけるサムスンのシェアは32%。45%のシェアを持つAppleに次いで、第2位につけている。ヨーロッパ全体でのサムスンのシェアは40~50%になるだろうとスタティスタ社は見ているのだ。

アップディ社のベルテンベルガー最高経営責任者(CEO)は米DIGIDAYの取材に対し、ニュースソースの発掘に人間とアルゴリズムを使っていること、パブリッシャー向けのプラットフォームを作ったこと、アドブロッカーを禁止していることについて語ってくれた。

人の手も加わった記事選択

ユーザーが「アップディ」を利用すると(旧バージョンのサムスン製スマートフォンのユーザーはアプリをダウンロードできる)、パブリッシャーからのコンテンツが「Tinder(ティンダー)」風の「アップディ」独自のカード形式で提示され、スワイプで次の記事を読める。記事はそれぞれ、「知るべき(Need to Know)」ニュースとしてローカルの記者チームによって監修される速報が主だ。

「アップディ」を見るたびに表示されるのは、毎回6~8本の新着記事。オプションで新着記事の通知を受け取ることもできる。「知りたい(Want to Know)」記事は、新規ユーザーが初回に入力する、好みの情報を基にアルゴリズムが選び出す。

ベルテンベルガー氏は、米DIGIDAYの取材に、「人間のレポーターとアルゴリズムの組み合わせこそ、サムスンが我々と手を組んだ理由です。ヨーロッパ市場でこれをやっている例はほかにない。ライバルとの差別化になり得る」。

パブリッシャーを意識して開発

パブリッシャーにとって、「インスタント記事」のようなニュースアグリゲーター・プラットフォームへの参加は諸刃の剣となる行為でもある。オーディエンスへのリーチを獲得できる一方、収益の減少にも繋がるからだ。アクセル・シュプリンガーはこれまでも、Googleのような企業がパブリッシャーの利益をすくい取っていると、主張し続けてきた。

「我々は『アップディ』を、パブリッシャーのための製品、あるいはパブリッシャーのためのプラットフォームと呼んでいる」と、ベルテンベルガー氏。「アップディ」は、RSSフィードを取り込むだけなので、パブリッシャーが簡単に利用できる仕組みになっている。各カードには提供元になったパブリッシャーが表示されていて、カードをクリックすると、読者は、専用システムに組み込まれた、各パブリッシャー用Webブラウザへと誘導される。これはパブリッシャーへのトラフィックとしてカウントされる。ベルテンベルガー氏は、パブリッシャーサイトが「アップディ」というプラットフォームを信頼してコンテンツを提供していることを強調し、そこへリンクを返すことがいかに重要であるかを語った。

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