揺れる金融機関、国際会計基準の変更のインパクト



管理側の見直し機会 先手打つ交渉も重要

国債保有に対する懸念はひとまず払拭されたが、他の有価証券でも金融機関の財務関係者にとって、頭の痛いことはたくさんある。

株式を含め、その他有価証券で管理されていたREITや資産担保証券のCDOなど、債券の中でも元本の確定していないような仕組みの債券は、すべて公正価値評価となり、全面的に損益に計上される。今までのように、安易に高利回りを当て込んだ保有はできなくなるわけだ。

また、株式を配当目的や政策目的で金融機関が大量に保有している「日本に配慮して」(IASB・デービッド・トウィーディー議長)、売買目的以外の株式のうち、企業が選択すれば、当期純利益には計上せず、「その他包括利益」として当期純利益の下に計上可能とされた。だがその場合、配当や売却益などの実現益もいっしょくたにその欄の計上になることに、批判の声が多い。

ただ、株式については、そのボラティリティの大きさや資本の現状から見ると、メガバンクも大手生保もリスクを取りすぎており、ビジネスモデルの見直しの必要性がかねてから指摘されている。債券の管理手法も含め、国際会計基準の変更に当たって、リスク管理の観点からも、再点検するよい機会だと前向きにとらえることもできる。

IASBでは原則(プリンシプル)のみを示し詳細を定めず、企業が自主的に原則に沿った処理を行い、会計士がそれを監査している。だが、詳細な運用規則を示されることに慣れている日本企業は、大方針に対して疑心暗鬼になりがち。IASBとの交渉では先手を打って早めに意見表明をしていくことが必要だ。

(大崎明子 撮影:梅谷秀治 =週刊東洋経済)

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