日米株式市場は徐々に悲観論が弱まってきた

日経平均株価は1万7000円の値固めとなる

米国市場の悲観・楽観の振れを見る上では、イールドレシオ(=長期金利÷株式益利回り=長期金利×PER)が参考になる。楽観に振れれば、長期金利も上がるしPERも拡大する。悲観であれば逆だ。S&P500指数の予想PERと10年国債利回りの週平均値を用いると、まずイールドレシオの大底は、リーマンショックにより2008年12月26日に現れた。次の底は2012年7月27日で、欧州財政懸念、特にこのタイミングはスペイン財政に対する不安によるものだった。この2つの底の間が187週離れている。

2012年の底から187週目は、今年2月26日に相当する。実際のイールドレシオは、2月12日を底として回復に入り始めているが、米国市場における過度の悲観論が剥落に向かうタイミングとしては、ちょうどよいのかもしれない。

じわりと強まった経済政策への期待

もう一つ、先週の国内株価が上昇を強めた要因としては、安倍政権による経済対策期待がじわりと強まったことが挙げられる。

2月26日(金)~2月27日(土)のG20財務相・中央銀行総裁会議で、金融政策への偏重が牽制される一方、財政政策等の必要性が唱えられた。日銀の金融政策だけでデフレ脱却を目指すことにはもともと無理があったが、マイナス金利導入があっても株価や米ドル円相場が反落したことで、ようやくその無理に気が付いたようだ。最初から、「黒田バズーカ」「大いにカネ余りになり、バブルが来る」などと騒いだのは行き過ぎだし、今さら失望するのもやり過ぎだ。金融政策がどうなろうと、淡々としていればよかったのだが。

ただ、そうした市場の騒ぎはともかく、金融政策の手詰まり感が強まった一方で、それ以外の政策が打ち出される空気が強まっている。G20とは関係なく、日本の景気回復のもたつきや株価・円相場の不振から、安倍政権に対する批判が湧き上がっているからだ。5月下旬の伊勢志摩サミットや7月の参院選を前に、安倍首相や菅官房長官から、消費増税の延期をにおわせるような発言が行なわれている。

また、内外の経済情勢について有識者の意見を取り入れるため、「国際金融経済分析会合」が設置されると発表された。その会合における見解を踏まえて、政府が5月に経済対策をまとめ、補正予算を編成するとの観測も浮上している。とは言っても、何かものすごい策があるはずはなく、逆に選挙後に経済政策面で力が抜ける恐れも強い。それでも、政府が景気対策に取り組む姿勢を見せたことは、株価の自律的な水準訂正を妨げない環境だと言える。

そうした流れの中での今週の国内株式市況だが、内外ともに材料は少なく、目先は一休みになってもおかしくはない。3月10日(木)のECB理事会を注目する向きがあるが、すでに追加緩和を匂わせておきながら何もしない、という可能性は極めて低いし、予想通り追加緩和しても市場へのインパクトは薄い。このため、今週の日経平均は1万7000円の値固めと見込み、1万6800~1万7400円を予想する。ぼちぼちゆっくりまったりと、国内株価の上向きの水準訂正を待つこととしよう。

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