埼玉のホテルが3年で収益を倍増させた理由 リピーター6割を生むスタッフの「自発力」
2015年の訪日外国人客数は1973万人に達し、そのうち中国人は約25%、500万人程度にものぼる。前年対比で倍の数が日本に押し寄せた。そして、中国人が日本で消費した総額は約1.4兆円にもなり、日本経済に大いに貢献している。
その一方で、マナーの悪さが指摘されている。降りる人を待たずに列車に乗り込むし、車中では大声で話をする。ホテルの朝食ビュッフェにペットボトルを持ち込み、オレンジジュースを大量に持ち帰る。日本で出会う中国人観光客を見ても、中国を旅していても、痛感することは、とにかく「自己中心的」なこと。周りを気にせず自分の都合を優先させることだ。
集団のなかでも個人が思う存分、力を発揮するためには
「中国人はマナーが悪い」
そう言ってしまえばそれまでだが、表層的な現象を日本人の常識的な価値基準で判断するだけでは相互理解は進まない。その背景にある、民族の成り立ちや歴史を理解する必要もあると思う。ここでは、深く触れないが、中国人は「内と外」を明確に分ける。つまり、身内はとても大切にするが、他人に対しては傍若無人に振る舞うのだ。そして個人主義。全員とは言わないが、集団より個人が大事であり、よって会社への帰属意識も薄い。だから給与の多寡ですぐに転職してしまう。
一方の日本人は、個人よりも集団の規律を重んじる。農耕民族ゆえに助け合って生きてきたからか、個人の利より集団の利を求める行動が尊ばれる。
日本人からしたら、「俺が俺が!」という自己主張ばかりして他人の感情に無頓着な人は敬遠してしまうが、中国人からしたらそれが当たり前、むしろ、日本の社会では、集団の利のために個人の能力の発揮が難しいと感じるという。中国人の多くは、「日本の社会や企業では、個人の自由が組織に縛られるために創造力が発揮されにくい。自発的な行動も制限される」と感じているという。サッカーや野球といった団体競技よりも、体操や卓球といった個人競技の方が、中国人の活躍が目立つ理由は、同根かもしれない。
集団のなかにあっても、個人が思う存分、力を発揮することができれば、最高のパフォーマンスを発揮する組織になるに違いない。それを体現している地方の中堅企業を紹介したい。「ホテルグリーンコア」というビジネスホテルだ。
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