映画業界に明日はない、ヒット量産方程式の落とし穴

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 「ヒットを左右するのは宣伝力がいちばん大きい」と、ぴあ総合研究所・笹井裕子主任研究員は語る。CMやポスターをはじめ、出演者のテレビへの出演、新聞・雑誌の記事など、多くの媒体に“映画を露出”させ、視聴者や読者の関心を向けさせる。

そうした露出の多さによって、視聴者や読者は見たいというより、「見なければならない」という気にさせられる。各映画会社も、映画に関連したブームを、メディアを使って「仕掛け」、あの手この手で客を呼び寄せる。多くの観客を動員する決め手は、話題作りによるところも大きい。

しかし、作品の実力以上に話題が先行するため、その落差に観客が戸惑うということも珍しくない。

「そうした宣伝手法を同じように展開されると、『またか』という気持ちにさせられる」と笹井氏はそうした過剰な宣伝を警告する。

テレビ原作は映画界のキラーコンテンツ

前宣伝とのギャップだけではない。作品そのものよりも興行優先の映画作りが行われ、完成度を求めた作品作りが置き去りにされているという意見は多い。

その一因が「スケジュール優先の映画作り」だ。

特にテレビドラマ原作の映画で顕著な手法で、テレビドラマの最終回から、間を置かずに公開しようとする。「そうするとツメの甘い作品ができてしまう」(映画関係者)という。時間をかければストーリーの練り直しが可能だが、日程優先で拙速な映画作りが横行しているというのだ。

しかし、前述した「テレビドラマ映画」は、映画業界にとってなくてはならないコンテンツだ。なぜなら、テレビ放映時点で固定ファンがついているため、映画化の企画段階で観客動員数を予測しやすく、オリジナル企画の映画に比べるとリスクが小さくて済むためだ。

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