映画業界に明日はない、ヒット量産方程式の落とし穴



 作品の評価と興行成績が一致しなくなった原因として、もう一つ考えられるのが映画ジャーナリズムの衰退だ。最近、映画を批評する映画誌も激減している。映画会社とのトラブルを避けるために悪い記事は書かないというのが背景にあるが、映画を客観的に評価していかなければ、何が良作で何が駄作かの区別が観客にはつきにくくなる。

「メディアが映画の良しあしをきちんと評価できなければ、観客の『映画力』が衰退する」と、カリスマ講師で映画にも詳しい細野真宏氏も指摘する。そして観客の見る目がなければ、「どうでもいい作品」が蔓延してしまう。その先にあるのは映画への失望である。

大手映画会社がヒット作を量産する陰で、中小の映画会社が厳しい経営を強いられているという問題もある。「大手の作品に比べ中小の映画(配給)会社の作品は存在しないに等しい」(映画宣伝マン)というように、ヒット量産方程式によって完全に埋没した状況だ。成績不振で破綻する映画会社や、資金繰りに窮して経営再建を迫られる会社もある。

映画業界の二極化という言葉で片付けてしまえば簡単だが、大手だけが儲かる構図がさらに進めば、中小だからこそ作れる先鋭的な作品やユニークな作品が消え、果ては業界そのものが崩壊する危険性は高い。

(週刊東洋経済)

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