映画業界に明日はない、ヒット量産方程式の落とし穴



 さらに「製作委員会方式」が、テレビドラマ原作偏重に拍車をかける。製作委員会方式とは、テレビ局をはじめ、出版社、広告代理店など複数の企業の出資によって設立された「製作委員会」が主導して映画を製作すること。かつては、映画会社が1社単独で製作していたが、映画の出来次第で収益が変わり、失敗時の損失も大きくなるので、資金集めとリスク分散を兼ねたこのシステムが日本では主流となっている。製作委員会へは、出資による配当だけでなく、DVDの版権やキャラクターの使用権獲得を目的に参加する企業もある。

この製作委員会で今や中心的な役割を果たしているのがテレビ局である。昨年テレビ局(在京キー局)が何かしら関係した作品は74本。それが邦画興収の9割を占め、うち26本が興収10億円を達成している。製作委員会方式だと、利害関係者が多くなり調整が難航する。「だからどうしても無難な作品作りになりがち」(映画関係者)になってしまう。笹井氏も「出資を募る以上、説明責任があるため、テレビドラマや漫画などは説明がしやすい」と、観客動員を計算しやすい作品に流れがちな実態を指摘する。

批評を忘れたメディア 中小映画会社は苦境

CM収入に頼った事業モデルが崩壊した民放各局にとって、新たな収益源となった映画ビジネスの育成は喫緊の課題だ。そのため、なりふり構わず新作映画のCMを流し続け、自局の番組まで“宣伝媒体”として使う。シリーズ物の場合、続編公開のタイミングに合わせて第1作をテレビ放映すれば、映画の宣伝にもなるし、視聴率も稼げる。テレビ局の参加は「よいことずくめ」なのだ。

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