カプコンの「新」アメーバ経営、ゲーム業界でヒット連発の秘密

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 ゲームソフトメーカーの場合、一つのタイトルの開発に必要なスタッフの数は50~100名程度といわれる。タイトル(あるいはシリーズ)ごとにプロジェクトチームを構成するのが一般的で、そのためメーカーごとのチーム数は「多くても30~40チーム」(白石幸毅・大和総研アナリスト)とされる。

これに対して、カプコンは部門ごとの縦割り組織に横ぐしのプロジェクトチームを貫く、いわゆるマトリックス組織を採用しているのだが、異例なのは、そのチームが約120も存在していることだ。チームはプログラマーやグラフィックデザイナーなどで構成する10名未満の小さなユニットが中核で、1人のスタッフが複数のチームに所属する。この小チームがまさにアメーバのごとく、変幻自在に姿を変えるのだ。

120チームごとの採算 週次ベースで徹底管理

一つの作品が、どのようなチーム編成を経て育てられていくかを、具体的に見ていこう(下図参照)。企画段階、まずはプロデューサー(開発責任者)を筆頭に「開発チーム」で活動がスタートする。企画書が開発会議などで承認を得られれば、そこにマーケティングや営業スタッフを合流させ収益試算表を作成。この試算表が経営陣に承認された時点で、他の開発チームからのスタッフが段階的にプロジェクトに参画、品質管理スタッフなども交え、100名規模のチームで本開発に突入する。

発売後に販売30万本を超えれば、コンテンツやモバイル部門のスタッフが加わり、さらなる知名度アップを狙って映画やアニメ化などマルチメディア展開を模索する。「バイオハザード」シリーズにおけるフルCG映像化(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとの共同制作)や、イケメン武将が登場する「戦国BASARA」のアニメ・舞台化などが典型だ。

その後、大所帯に膨れ上がったチームはいったん解散する。あるチームはパート2などシリーズ化開発に残り、別のチームはもともと手掛けていた企画、あるいはまったく別の企画開発に移っていく。こうして、ヒットを生むための暗黙知が受け継がれていくのだ。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事