フジテレビが大博打、15時間生放送の胸算用 民放キー5局の「4月改編」の狙いを読み解く
最大の強みはレギュラー番組の好調さ。全時間帯でトップを走る日テレではあるが、特に強いのが月曜、土曜、日曜だ。
中でも日曜は、業界でも屈指の人気を誇る「ザ!鉄腕!DASH!!」「世界の果てまでイッテQ!」「行列のできる法律相談所」が並び、「おしゃれイズム」へと続く。流れは盤石だ。
他局関係者も「視聴者は日曜夜に日テレを見る習慣がついている。なかなか引き剥がせない」とお手上げ状態。現状では、特段テコ入れが必要な番組も見当たらないため、スタジオセット刷新など追加費用がかからず、番組制作費の削減も進んでいる。
フジがブチ抜き生放送に変える理由
これに対して、フジはどうか。2015年度上期(4~9月期)は1997年の上場以来、初となる営業赤字(10億円)に転落した。既存のバラエティ番組で思うように視聴率を獲得できず、それが広告単価に跳ね返った。
10~12月期は番組制作費など費用を切り詰めて、再び黒字化したものの、視聴率改善とコスト削減は喫緊の課題だ。
今回、生放送を拡大する狙いは、最新の情報をタイムリーに盛り込むことだけではない。編集作業を省くことで制作コストを削減するという利点もあるとみられる。
ただし、フジは2013年度に長寿番組「笑っていいとも!」を打ち切り、後継番組として生放送の「バイキング」を始めたが、視聴率は1ケタ台前半と苦戦。現在、昼枠では日テレやTBSテレビも同様に生放送中心の編成を組んでおり、今春の新番組の方向性を誤れば、視聴者がさらに他局へ流れてしまう懸念がある。
また、生放送の枠を拡大させることには、「前後の番組で同じニュースが流れると、一度そのニュースを見た視聴者がチャンネルを変えてしまう」(業界関係者)という危惧も付きまとう。
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