「商売下手な人」が理解していない欲望の本質 ヒット商品は理屈で生まれるものじゃない

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『はじめての社内起業』著者の石川明氏

石川:なんせ撃てばいいと。

高橋:そうです。人によっては隠れて、誰も撃っていないところを見つけて撃っているだけで、チームに貢献できるんです。もうひとつはツイッターを使って、いろいろと拡散させていることもあります。

定期的に「フェス」というイベントがあります。オンラインでチーム対戦をするんですが、そのチーム分けの基準は毎回のお題に答えるんですよ。たとえば、「あなたが大切にしているのはおカネか愛のどっち?」とか、「完璧な体か頭、どっちが欲しい?」とか。自分が思うほうのチームに入って、相手と撃ち合えと。

常見:面白い!

高橋:すごく話題になるんですよね。さらには東洋水産のカップ麺である「赤いきつね」対「緑のたぬき」、無添くら寿司がかかわって「イカ」対「タコ」など、企業とのタイアップ企画もある。

石川:そんなのどうでもいいように思いますが(笑)。

高橋:ところがすごく話題になっています。ノイズをうまく届けていますが、もちろん、「面白い」「私もできる」と口コミで伝わっていく。すべてが上手く絡み合っているんです。

石川:「面白い」ということに、そこまでこだわるのがすごいですね。

高橋:そうなんです。

石川:よく映画とかお芝居とかで、感動させるとか泣かせることよりも、笑わせる、面白がらせるほうが難しいって言われる。相当突き詰めないとわからないですよね。

高橋:これは相当よくできていて、僕は半分反省したというか、恥ずかしいとすら思いました。売れるためには大きい力が必要なんじゃないか、と思っていたころもあったけれど、そうではないという想いに立ち返ることができたんです。 

向き合うべきは、人間の根本的な欲望だ

常見:人間の根本的な欲望が大事ですね。

高橋:非常に大事です。

石川:それに気づくのがすごい。たしかに僕もプチプチするのは好きですけど、これを玩具にしようと思えるところがすごいですよね。

高橋:最近、「らいすふぃーるど」というカードゲームを発売しました。稲を育てて、米を収穫して炊いてごちそうを揃えたら勝ち。おなかがすいて白いご飯が食べたくなるゲームです。

石川常見:お、おう(笑)。

高橋:もともとは脳トレのように、子供の教育によさそうなモノを考えていたんですが、勉強したい人は勝手に勉強するし、そうじゃなくて遊びと混ぜるなら100%面白くないとダメですから。まずはすごくハマって、誰でも遊べるゲームを全力で作りました。

常見:僕たちはいつのまにかニーズの押し売りをしてきたのかもしれない。

高橋:一歩間違うとそうですよね。

常見:人間の欲望は何か、ということは大事ですね。スプラトゥーンの場合、ネットを介していたり、ソーシャルネットワークを使ったり、あとイカかタコかにしろ、おカネか愛かにしても、自分の個人的取り組みが世界を背負う。TOEIC900点だとか、グローバル化するぞとかそういう話ではなくて、オンライン英会話でフィリピンの可愛い女の子と話したいという、根本的な欲求って大事ですね。

石川:自分はずっと「不の解消」という視点で事業を考えてきましたが、これは全く逆の視点ですね。あえて言うと「快の追求」とでも言ったらいいでしょうか。「不の解消」は、比較的凡人でも努力すれば考えやすいのですがそれだけでは乗り越えられないところがあるのかな、と感じましたね。

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