「商売下手な人」が理解していない欲望の本質 ヒット商品は理屈で生まれるものじゃない

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高橋:逆に僕は「面白い」「楽しい」というほうが考えやすくて、「不の解消」を考えるのはたぶん得意じゃないし、僕がやらなくても誰かがやってくれる。生きていれば、10年後には世の中は超便利になっているだろうと思います。

一同:(笑)

高橋:だから気づいても、そこに自分が乗り出していこうと思わないかもしれないですね。楽しさを作りたい。

快の追求には「自分マーケティング」が大事

石川:楽しいっていう感覚は、人それぞれきっと違う。便利とか不便という認識は、万人に共通していることが多いんですよね。「快の追求」をしていくんだったら、自分の気持ちにとことん向き合うことがすごく大事だと思います。

それを僕は「自分マーケティング」って呼んでいるんですけれども、「不の解消」の視点で言うと「自分マーケティングは危ない」っていう感覚のほうが強い。どちらかというと他人マーケティングが得意で、「自分のことはどうでもいい」というスタンスです。

高橋:本当に逆ですね。まさにその通りで、僕は他人に聞いても100%は信じられない。ターゲットが自分と違う属性でも、まず自分が欲しいものを考えるほうが信じられます。

石川:その高橋さんの感覚で作った「∞(無限)プチプチ」が335万個売れたというのは、それだけ多くの人が同じ気持ちだったっていうことですよね。

常見氏「相手に簡単に迎合しないことも大事」

常見:特にコンテンツ系とかエンタメ系って、最後は熱量が必要になります。相手に迎合してしまったら、誰でも読める携帯小説を目指すような話になる。

石川:高橋さんは「面白い」を理論化できますか?

高橋:実は大学のときに研究でチャレンジしましたが、そのときはできませんでした。でも、「これはハマった」という事例は、その後もストックしています。たとえば、ビデオゲームでも「ニンテンドー3DS」とかでも、気づいたら徹夜でやっていて、それを断ち切るためにブックオフに売ったのですが、そのたびに「なんでだろう?」と面白いツボは分析してきました。

石川:「高橋晋平理論」があるわけですね。

高橋:そうですね。理論というよりは、体験を増やしています。さまざまな商品をみて「こういう設定だったら全然面白くなかっただろう」というのをすごく蓄積しています。

石川:一方で、理屈通りに作って、面白いモノができるかっていうと、全然そうでもなかったりするんですよね。再現性がないというか。

高橋:そうなんですよ。欲求って、学術的にはマズローの5段階説が語られますよね。まずは「食べたい」「寝たい」とか、生きていくための欲求で、それが満たされていくと「安全に暮らしたい」「集団に属したい」「他社から認められたい」など、どんどん高い次元の欲求に行くという話です。僕はそこでは語られていない欲求があると思うんです。

石川:そこにまだたくさんビジネスチャンスがありそうな気がしますね。

高橋:僕はそこをうまくやりたいと思います。

石川:「不の解消」の世界では結構理屈が通る。だけどエンターテインメントとか「快の追求」の世界では、条件を全部満たしているはずなのに実際にはウケないことが起こりがちだから、そこが難しい。全部が全部、理屈通りにならないところはあります。「理由」を聞いてもそれは嘘かもしれないし、無意識の嘘も含めて、本当のところはどうなのかと考えると難しさは残ります。

高橋:僕は自分なりの「楽しさ・遊び・ハマる」で解決したいんです。オンライン英会話も、結局は講師の女性に対するトキメキが冷めてしまって、毎日続かなくなりました。「不の解消」に取り組んでいるチームに「遊び・楽しさ・ハマる」を持ち込んで、「快の追求」で解決したくて、現在取り組んでいます。

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