混乱が際立つ郵政民営化問題、与野党は責任ある対応を

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混乱が際立つ郵政民営化問題、与野党は責任ある対応を

「かんぽの宿」売却問題が決着した。「不動産売却等に関する第三者検討委員会」の報告(5月29日)を受けて、日本郵政は6月24日、佐藤勉総務大臣に改善報告を提出し、受理された。さらに6月29日、日本郵政の株主である国は、西川善文社長など日本郵政経営陣の続投を認めた。

まずは一件落着といいたいところだが、後味はすこぶる悪い。日本郵政は改善報告に、「かんぽの宿」売却問題を通じて明らかになった自社の内部的な問題を列記している。

「国民共有の財産の売却等に当たって十分なルールが整備されていなかった」「意思決定の際の選択肢の比較考量、選定過程の記録の整備が十分に行われていなかった」「経営会議や取締役会への十分な情報提供が行われていなかった」等々。

いずれも経営のガバナンスという面では基本的な問題である。早急な改善が必要といえる。しかし、後味の悪さがこの点に起因するわけではない。日本郵政は今後、経営諮問会議を新設するという。メンバーは、利用者、有識者のほか、地方自治体、労働組合、郵便局長会の関係者である。

日本郵政が報告に記した問題点の改善に加えて、なぜ、屋上屋を架すような組織を設置することが必要なのかが理解できない。構成メンバーの顔ぶれを見ても、利害得失の観点から「呉越同舟」であり、今後、日本郵政の経営が停滞を余儀なくされる懸念もある。

外部人材に引き揚げ懸念

郵政民営化をめぐっては、どうもこれと同質といえるようなあいまいで理解できない話が、政治の世界で横行しがちのように思える。そのたびに日本郵政グループは混乱の中に突き落とされている。

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