外資系人材紹介会社・ヘイズ・ジャパンの「世界31カ国における人材の需給効率調査」によると、日本はミスマッチ率が高くて「最も人材が探しにくい国」とのこと。企業が求めているスキルと、実際に求職者が持っているスキルとが大きく乖離しているようなのです。
参考に、オーストラリアが最もミスマッチ率が低く、人材が探しやすいとのこと。人材ミスマッチの拡大は、日本経済の成長の大きな足かせになる可能性があります。ヘイズ社は「一部に改善の動きがみられるものの、国内の雇用制度は依然として柔軟性に乏しく、これが続くかぎり人材ミスマッチの課題は当面続くものと考えられます」とコメント。安倍政権は、労働規制の緩和やダイバーシティの促進など、労働力の拡大に向けた取り組みを始めていますが、成果につながるのか、不安になってきます。いったい、どうしたらいいのでしょうか。
企業が求める人材レベルが高すぎる
日本銀行が公表した経済・物価情勢の展望によると、企業の求人数が求職者数を上回っており、職種など条件にこだわらなければ働ける状態とのこと。しかし“ミスマッチ”による失業率の改善は思わしくないようです。
その原因として指摘されているのが産業構造の変化。産業構造が変わり、衰退産業で人手が過剰でも、成長産業では企業が求める人材が足りず、ミスマッチ失業が生じやすい状態になっているのです。労働力の急減に直面する日本にとって、本来働ける人が働けない状態が続くミスマッチ失業率の高止まりは、あまりにも大きな人材のロスであると指摘されています。
こうした背景から鑑みて、筆者が思うに、最も注目すべきミスマッチの原因のひとつは「企業が求める人材レベル(経験・スキル)が高すぎる」ことではないでしょうか。
求める人材レベルがさほど高くないポジションであれば、マッチング率は高まります。ところが求める人材レベルが高まれば、マッチする人材がどうしても少なくなり、ミスマッチ率が高くなります。たとえば、グローバル化を目指す会社が
・海外赴任経験があり、海外勤務を希望している
・英語力がビジネスレベル
・外国人をマネジメントした経験がある
などと、求める人材レベルを設定したとしましょう。転職サイトの登録者のうち、いったい当てはまる人が何人いるでしょうか?
あるいは、これからの会社が求める人材としてよくあげられる「マルチスキル人材」。グローバル化による専門性だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメントスキルなどを合わせ持つ人材のことです。
あるいは企業に集まるビッグデータを科学的に解析し企業活動に役立てるデータサイエンティスト。さらにインターネットやSNSなどを活用したデジタルマーケティングに関する専門人材。新たに登場してきた仕事ゆえ経験者は少なく、中途採用市場では激戦となっています。
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