ただし、掛川のホームには駅弁売場がなく、三河安城にいたっては岐阜羽島とともに改札外にしか売店がない。これらの駅では、停車中の駅弁購入は難しいので注意が必要だ。もっとも、掛川の駅弁は浜松と同じなので、浜松で買えばよいだろう。
豊橋から西の区間も要注意だ。豊橋を出てから新大阪までは、停車中にホームで駅弁を購入できるのは米原駅だけ。しかも米原駅はステーキ弁当をはじめ人気駅弁が多く、夕飯時などには売り切れてしまうこともある。米原で駅弁を逃すと、豊橋~新大阪間約1時間40分を、缶ジュースだけで過ごすことになる。この区間を「こだま」で旅する人は、駅弁確保を忘れないようにしたい。
地域色豊かな、歴史ある駅弁
東海道新幹線の停車駅では、地元の駅弁業者がさまざまな駅弁を売っている。下り列車で最初の5分停車となる小田原駅では、東華軒の「小鰺押寿司」1030円が有名だ。
「名物弁当を作りたい」と、脂ののった真鯵を塩で締め酢に漬けて、関西風にして売り出したのはなんと1903(明治36)年。やや強めのお酢が独得の味わいで、お酒にもよく合う。小田原から先、東海道新幹線はしばらくの間トンネルが続き車窓風景があまり見えないので、この間に腹ごしらえしておくのもいい。
熱海で海を眺め、新丹那トンネルを抜けると三島に到着。ここは、東海道新幹線の駅の中でも特に駅弁が充実した駅。「富嶽 あしたか牛すき弁当」「天城紅姫あまご寿司」など、桃中軒のバラエティ豊かな弁当が19種類も揃う。しかも、デパートの駅弁大会などに出品されることが少ないので、ここでしか味わえない。
おすすめは、「港あじ鮨」960円と「沼津 香まだい寿司」1050円。どちらも天城産の本わさびがついており、自分ですり下ろして薬味にする。車内でわさびをすり下ろし、ワインや日本酒とともにいただく寿司は格別だ。
掛川駅と浜松駅の駅弁を販売している自笑亭は、1854(安政元)年創業、浜松藩最後の当主から屋号を賜ったという老舗中の老舗。現在は15種類ほどの駅弁を取り扱っている。オーソドックスな「幕の内弁当」を名乗る商品が、「まくのうち弁当」740円と「納得のいく幕の内」830円の2種類あるのがユニークだ。
「納得のいく~」は1992(平成4)年発売で、揚げ物を使わず、煮物中心にまとめたヘルシーな弁当だ。豪華版幕の内である「喧嘩凧」1030円と合わせ、3種類もの幕の内弁当を長年売り続けているというからすごい。
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