元三重県職員が仕掛ける“わくわくする図書館” 図書館運営受託ベンチャーの夢

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しかし希望はあった。すべての学校関係者が門前払いをしていたわけではなく、谷口の話を聞いて考えを理解してくれる人もいたからだ。ある教育委員会では教育長自らが予算を取るために、役所に掛け合ってくれた。だが、前例がないだけでなく、01年当時はITバブル崩壊で不況の真っただ中。「新規予算はつけられない」と断わられてしまう。

しかし、その不況が逆に谷口の味方になった。02年2月、自治体が雇用を創出するため、緊急の補助金を出すことになった。「谷口さん、これでやらないか」と言われ、全国初となる学校図書館運営の受託を二つの中学校で始めることになった。

外部業者は学校の敵? 黒衣に徹し理解を求める

その後の反響はすさまじかった。リブネットが運営するようになって、2校の図書館は一瞬にして生まれ変わったからだ。

2校のうち1校は週4日、司書を派遣していたが、運営開始からわずか数カ月で昼休みは満席、休み時間もひっきりなしに生徒が来た。利用者数は1日100人以上、あまりの事態にメディアも殺到した。テレビでその様子が放送されると、ほかの町の教育委員会から「やらせだ」と抗議が来るほどだったという。

谷口がうれしかったのは、中学生の男子が、分厚い本を抱えて、受付に走ってくる姿を見たときだ。

「中学生の男子がいちばん本を読ませにくい。その子たちが本を抱えて走ってくる。その姿を見て、私のやっていることは間違っていないという確信を持った」

生徒たちは本が嫌いなわけではない。本に接する機会が少ないだけだ。子供は読書によって感性や表現力、想像力などが磨かれ、人間的に大きく成長する。学校教育の基本は教壇での授業だが、授業を補助し、生徒たちに本に触れる機会を数多く与え知的欲求を満たす。それこそが学校図書館の存在意義なのだ。

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