グーグルが敷くフェイスブック包囲網の実態 メディア戦略での独り勝ちを警戒

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公式ブログのポスト「AMP: WHAT ABOUT ADS?」(1/25)によると、AMPを利用しても媒体社は従来通り、アドサーバーの選択、フォーマット、広告の掲出位置、ビューアビリティの測定を自由に決めることができる。掲載される広告に関しても、コンテンツと同様の速度で表示されることを目指し、速度に焦点が絞られている。

3. フェイスブックがパブリッシャーに譲歩?

2月中旬、フェイスブックと媒体社が配信条件で妥結した模様だと報じられた。WSJのジャック・マーシャル氏(元DIGIDAY)が複数の米媒体社を取材した記事によると、パブリッシャーとフェイスブックは主に広告に関するレギュレーションをめぐって交渉を続けてきた。媒体社サイドは広告の掲出頻度を制限するレギュレーションに関して不満を持っていた。

しかし、ここに来て、フェイスブックは各パブリッシャーと妥結に舵を切った。同記事では、新興デジタルメディアのVox Media、リトルシングスコム(LittleThings.com)がインスタント記事で自社サイトと同等の広告収益を見込んでいることに触れられている。ビジネスインサイダーはむしろインスタント記事で得る収益の方が少し大きくなると予測している。若者向け媒体のミック(Mic)に限っては、マネタイズのメドがたったため、コンテンツの100%をインスタント記事に流通させる決断に踏み切った(他社は一部配信)。

(米国では)広告配信網フェイスブックオーディエンス・ネットワークでのレベニューシェア(広告売却益の配分)は、媒体社が70%、フェイスブックが30%となっている。フェイスブックが媒体の販売を代行した場合もレベニューシェアは同様だ。媒体社は30%のコミッションを加味しても、フェイスブック広告のCPM(表示1000回当たりの費用)、つまり、価格が上昇していることを評価しているという。

おそらくこの妥結にはパブリッシャーのAMPとの交渉が関係しているとみられる。大手媒体社の多くは双方のプラットフォームと交渉、開発を続けており、片方に限らなくてよく、インスタント記事とAMPの双方をコンテンツ配信に活用できる。媒体社が協調している場合に限り、効果的に両プラットフォームを競わせ、レベニューシェアなどの条件を有利に運べる可能性もある。

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