グーグルが敷くフェイスブック包囲網の実態 メディア戦略での独り勝ちを警戒
AMPプロジェクトは全世界の多数の媒体社のほか、20社以上のアドテクベンダー、ソフトウェア企業も巻き込んだ「フェイスブック包囲網」だ。オープンにステークホルダーとAMP HTMLの改良を重ねていくため、フェイスブックのクローズドな開発体制より有利に見える。また、これはAndroidでアップルのiOSプラットフォームを追走するときにとった方法に似ている。
4. モバイル体験とクロスデバイス
このロード時間をめぐる競争は、モバイルエクスペリエンス(モバイル体験)がとても重要になっていることを示している。グーグル広告・EC担当シニアバイスプレジデントのスリドハル・ラマスワミ氏は2016年1月末に米インタラクティブ広告協議会(IAB)で、米国のプログラマティック広告市場規模が2015年の150億ドル(約1兆7000億円)から、2020年までに50億ドル(約5700億円)を上乗せするためには、最高のモバイルエクスペリエンス(モバイル体験)を提供し、悪い体験を排除することが必要となると主張した。
消費者がモバイルに多くの時間を割き、モバイル利用方法がさまざまなパターンに断片化していることが、多彩なデジタルモーメントを生んでいる。数多あるモーメントのなかでインテント(意図)に富んだ瞬間があると指摘している。マイクロモーメント(Micro-Moments)だ。このモーメントには「知りたい(Know)」「行きたい(Go)」「したい(Do)」「買いたい(Buy)」という4つの意図が発せられる。
マイクロモーメントはモバイルにおけるマーケティングにとって重要な知見を提供する一方で、グーグルの検索を基点としたエコシステムを強化する役割もある。強いインテントを持ったユーザーが最初にたどり着くのがモバイル検索だという「物語」。ユーザーがモバイルウェブを旅する限り、グーグルは収益を上げ続けるのだ。
AMPに関しては、以下のようにしている。現行のウェブと変わらない。
ラマスワミ氏はグーグルは7億8000万件のディスプレイ広告と、2万5000本のアプリに掲載された広告を停止したと明らかにした。それらを偽造品、違法薬物、詐欺などの絡んだ悪質な広告とみなしたためだ。