上西京一郎・オリエンタルランド社長--本当に顧客志向なのかをゼロベースで再度見直す
しかし、会社の成長というだけではなく、TDR以外にも力を発揮できる場を持つことが、社員そして会社の活性化につながる。これまでの失敗に学びながら、新規事業への挑戦は絶対にしなければならない。
固定観念を一度見直す思考回路を植え付けたい
--25周年の反動で今期は入園者数の減少が見込まれています。
過去の事例でも周年後の入園者数は落ち込んでいる。特に前期は予想以上の成績だったので、それを前年比で上回るのは非常に難しい。
単年度で見れば、株主からもご指摘があると思う。それは当然だが、テーマパークは3~4年という周期で考えることが必要。パークの価値を高め、入園者数を徐々に増やす。それを繰り返すことだと思う。
25年間パークを運営してきて、ゲストのニーズにも変化がある。本当に顧客志向に立っているか、もう一度ゼロベースで見直したい。
昨年夏にトライアルしたのが、自動販売機による飲料販売。これまでTDRでは飲料はすべて手渡しでのワゴン販売。自販機は置かないというのが一つの大きな考えだった。しかし、夏場のピーク時に、お客様が飲料を買うのに20分近く並ぶこともある。ハンド・トゥ・ハンドありきの考えだけで本当にいいのか。これまでこうした議論が少なかった。
アトラクションの待ち時間を携帯電話に通知するサービスも実験中だ。今はアトラクションごとに待ち時間を表示しているが、パーク全体でお知らせする手段がなかった。対人サービスをサポートする部分で、ITを活用していい。変えることが前提ではないが、固定観念を一度見直す思考回路を植え付けたい。