上西京一郎・オリエンタルランド社長--本当に顧客志向なのかをゼロベースで再度見直す
実際に加賀見が社会人になった年に私は生まれているから、それだけでも差がある(笑)。でもやりにくさはあまりない。私が加賀見の秘書を長くやってきたこともあり、これまでも自分の中で言うべきことはすべて言ってきた。
私に期待されているのは、顧客志向を愚直に続けることだと思う。想像力があるとか、アイデアマンとか、そういう点では私はまったくの門外漢。キャストの声を公平に吸い上げ、生き生きと働けるようにする。
--今後の成長戦略をどう描きますか。
(TDRのある)舞浜については、東京ディズニーランドにも、ディズニーシーにも大型施設を導入する余地が若干ある。昨年開業したディズニーランドホテルのように、駐車場を立体化していけば、全体の規模を広げていくこともできる。
個人的には今後はホテルよりも、昨年開業した「シルク・ドゥ・ソレイユ」専用劇場のような、新しい施設を造りたいという思いはある。ただ、少子高齢化が進む中、市場環境をしっかり見極めたうえで、判断しなければならない。
新事業については今、具体的に言えることは少ない。今年撤退を決めた知的財産権事業(キャラクターの版権ビジネス)も、内容としてはよかったが、市場の見通しに甘さがあった。一部のキャラクターに人気が集中する中で、新しいキャラクターを育てるのは並大抵ではない。
市場の変化は速い。その中で3年後にオープンさせますとか、そういうスパンで新規事業は考えていない。今のイメージではやはり10年スパン。そこでわれわれが掲げる「心の活力創造事業」を実現できる事業を見つけだしたい。
--新規事業の投資基準は。
具体的にはお話しできないが、一つ言えるのは、どうしてもパーク事業との比較になってしまうこと。パークの利益率は損益分岐点を超えれば、非常に高い。それと比較すると、新規事業に対し若干臆病になる部分はある。