クライマックス迎えるDRAMの世界大再編

半導体の中心的存在であるDRAMで、世界再編がクライマックスを迎えつつある。DRAMとはパソコンや携帯電話端末のメモリ(記憶装置)として用いられる半導体のこと。世界的に供給能力が過剰になり、DRAM価格が過去最低水準に低下。DRAMメーカー各社は軒並み赤字にあえいでいる。

一部の業界関係者からは、「空前の価格下落は、不正資金疑惑で揺れる韓国サムスン電子の販売価格管理部門が、機能不全に陥っているからでは」との恨み節も聞こえる。だが、最大の原因は、新製品への過剰な期待による供給過多と見ていい。

話は1年前にさかのぼる。2007年1月、米マイクロソフト(MS)が新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ・ビスタ」を発売した。3Dグラフィックス(3次元描画)など高機能の付加で、「従来の512メガバイトのDRAMでは不満。1ギガバイトは必要」「いや2ギガバイトだ」。パソコンの新規販売台数が伸びなくとも、パソコン1台当たりのDRAM搭載容量が2~4倍に増えると、メーカー各社は皮算用した。韓国サムスン電子と韓国ハイニックスとの首位争い激化が大増産に拍車をかけたほか、各社の歩留まりが向上したことで、DRAMの供給量が一気に膨らんだ。

ところが、いざビスタが発売されると、需要はさっぱり。ユーザーからは「従来のOSで十分」との声が上がった。最も一般的なDRAMのスポット価格は07年初に6ドル台だったが、わずか半年で2ドルを割り込んだ。

それでもメーカー各社はあきらめきれない。「欧米の学生が夏休みを終える『バック・トゥ・ザ・スクール』の秋に向けて、ビスタ搭載のパソコンが売れ、DRAM価格は回復」「新OSの初期不良を改善した『サービスパック』がリリースされる08年初には回復する」といった具合。だが、期待は裏切られ続け、DRAM価格は上がるどころか、07年11月についに1ドル台を割った。1ドル割れは01年以来の過去最低の水準である。サブプライムローン問題の勃発で、ビスタの法人需要も盛り上がらず、3月に再び1ドルを割り込んだ。


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