クライマックス迎えるDRAMの世界大再編

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再編の目は巨額赤字を垂れ流す独キマンダ

空前のDRAM価格の下落はメーカーの業績を直撃した。最も深刻なのは独キマンダ。独シーメンスから分離に分離を重ねて06年に設立された世界4位のDRAMメーカーだが、DRAM価格の急落で07年10~12月期は5億9000万ユーロ(約808億円)の営業赤字。独キマンダの株主資本は28億7300万ユーロ(4424億円)。現在の規模の赤字が続けば09年にも債務超過に陥りかねない。

75%出資の親会社、独インフィニオンテクノロジーズは、独キマンダを分離する際、独キマンダ株を段階的に放出する方針を表明。また、DRAMメーカーの多くがスタック(積層)方式で作っているのに対して、独キマンダがトレンチ(溝)方式なのも、独キマンダの再編思惑に拍車をかけている。というのも、DRAMメーカー各社は回路の微細化で「取れ数」(シリコンウエハ1枚から取れる半導体の数)を増大、コストダウンにしのぎを削っている。そうした中で、構造上、回路の微細化に限界があるトレンチでは、今後の生き残りが難しいとされる。

独キマンダの苦境は、同業他社にとっては千載一遇のチャンス。独キマンダの世界シェアは11%(右下の円グラフ)。このシェアをまるまる奪えば、2位の韓国ハイニックスは首位に、3位のエルピーダメモリと5位の米マイクロンテクノロジーは2位への浮上が可能だ。6位の台湾・南亜電子にすら3位浮上の目が出てくる。

エルピーダの坂本幸雄社長は、「独キマンダの買収に手を挙げてもいい」と公言。ただ、トレンチとスタックとでは生産設備に互換性がないため、「独キマンダが既存の生産設備をすべて廃却した後でなら」(坂本社長)という条件つきだ。

「独キマンダは6月までに再編されるのがいい」(坂本社長)。独キマンダの株主資本がついえないうちに手を打つべきとの見方だが、裏を返せば、早期に世界的な過剰供給が緩和されなければ、他メーカーの赤字も拡大し再編の対象になる。エルピーダですら08年3月期は200億円規模の営業赤字に転落。今のDRAM価格のままなら09年3月期はさらに大きな赤字になりかねない。

独キマンダ以外で唯一、トレンチ方式は南亜。南亜の親会社は台湾最大の企業集団、台湾プラスチックである。台プラは体力的に申し分ないが、同じトレンチの会社を買っただけでは将来展望が立たず、さらなる買収に動くかもしれない。するとDRAM再編は独キマンダ救済を手始めに、一段と拡大する可能性が高い。
 (週刊東洋経済)

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