【前田新造氏・講演】“人”が創る企業力−組織を活かすリーダーシップ−(前編)
東洋経済新報社主催フォーラム
「逆境こそチャンス~未来を創るリーダーの要件~」より
講師:株式会社資生堂 代表取締役社長 前田新造
●新ブランド乱発の中での改革
資生堂は1872年、明治5年に創業いたしました。ちょうど新橋から横浜に鉄道が開通した年と同じでございます。そして今年で137年を迎えます。資本金は645億円、従業員数は海外も含めたグループ全体で約4万名になっております。2008年3月期の連結ベースの実績は、売り上げが7235億円、このうち海外の売り上げ比率が急拡大中でありまして、36%を超える状況になっております。また、営業利益は635億円、営業利益率は8・8%、改革をスタートさせる前の2004年度の実績4・1%に比較いたしますと高くはなっておりますが、まだグローバル・コンペティターと比較して十分な水準ではないと考えております。当社は我が国最初の洋風の調剤薬局として創業したわけですが、漢方が主流であった当時にあって、西洋の科学的な医療と「易経」という東洋的な精神を融合しようという「和魂洋才」の理念がこの社名に表されております。事業内容を薬から化粧品まで拡げたのは大正時代に入ってからです。その後日本の急速な文明開化とともに化粧品を中核として事業を拡大していきました。
私どもが大きく成長した原動力は、先達が作り上げたさまざまな制度にあります。大正12年、1923年にスタートさせた「チェインストア制度」を皮切りに「販売会社制度」、そして今のビューティコンサルタントの前身となる「美容部員制度」を導入し、昭和12年には資生堂花椿会を発足させ、愛用者まで組織化していきます。こうしたさまざまな制度を基盤とした強固な販売網と本社からのプロモーションにより、飛躍的に愛用者を拡大することができました。
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