クアラルンプールでは、今回のような共同声明に合意することができず、議長声明が読み上げられただけだった。その中では、埋め立て工事への言及はあったが、議長声明は合意文書ではないので今回の共同声明のような重みはなかった。米国はクアラルンプールでの結果が非常に不満だったので今回の特別サミットを開催したとの指摘もあった。
米国は、南シナ海において無法な行動を続ける中国に対抗して国際法順守の国際的連帯を形成しようとしているが、中国との関係に強く縛られているがために参加できない国もある。今回の特別サミットは安全保障についても、明確な内容の共同声明を発出することができた。国際的連帯形成の努力はサニーランズで一歩前進したと言えるだろう。
中国から公式の反応はない。表面的には第三国間の問題として関知しないという姿勢を取っているのだろうが、中国系の新聞は、米国で発行されているものを含め、「反中同盟」とか「反中統一戦線」とか「中国に対する包囲網」などと呼んで警戒している。
おりしも、中国軍が西沙諸島でミサイル砲台を設置したことが報道された。衛星写真で発見されたのは2月14日頃と言われているが発表は16日で特別サミットと同日だった。
中国が意図的に特別サミットにタイミングを合わせたのか、確認するすべはないが、米国としては不快感を覚えただろう。ケリー米国務長官は翌17日、「軍事化が高まっている証拠が毎日確認されており、深く懸念している。ミサイル砲台の設置問題をめぐり、今後数日中に極めて真剣な協議を行うと確信している」と言明したと報道されている。最後の部分がちょっとわかりにくい言い回しになったのは、中国へ協議を申し入れているが、まだ回答がないからだろう。
一方、中国の国防部は『環球時報』(人民日報傘下の通俗紙)に対し、「中国の海空の防衛設備は何年も前から設置されている。西側のプレスが騒ぎ立てているのは「中国脅威論」の蒸し返しに過ぎない」と説明したと報道されている。
日本は国際法順守の国際連帯の重要な一員であり、尖閣諸島の関係でも南シナ海の状況を密にフォローする必要がある。来る3月には、フィリピンが提訴していた国際仲裁裁判の決定が下る予定だ。領有権問題について結論が出るわけではないが、中国のいわゆる「九段線」主張、つまり、南シナ海のほぼ全域を中国の領域だとする主張の妥当性については判断が示される可能性がある。
インドは加わったが、韓国は態度を明確にせず
中国は日本にとって重要な国だが、東シナ海及び南シナ海での中国の拡張的行動に対し、毅然として反対し続けなければならない。今回、米・ASEAN諸国の特別サミットが開催されたこと自体、また発表された共同声明は日本にとっても積極的な意義がある。
米国が主導するこの国際的連帯については、インドのように最近明確に加わった国もあるが、韓国はまだ態度を明確にしていない。日本は、米国とともに国際的連帯の拡大に努めていくべきである。
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