バーバリー大胆「新商法」の大きすぎる波紋

半年前倒しのコレクションを廃止へ

ロンドンでは近年、業界関係者だけを対象にした「ロンドン・ファッション・ウイーク」のあとに一般消費者向けに公開される「ロンドン・ファッション・ウイークエンド」が開催されている。主催者である業界団体「英国ファッション協議会(BFC)」のキャロライン・ラッシュ会長はこう語る。

「BFC理事会は、消費者とつながるとともに売上増の直接的な原動力となるファッションショーのあり方について話し合ってきた。バーバリーはまさに革新的だ。同社の戦略的な動きは、ベイリーと彼のチームがこの課題の解決に向けてすばらしいリーダーシップを発揮していることを示している」

トム・フォードも追随の動き

実際、バーバリーの発表から数時間後にはデザイナーのトム・フォードが、ニューヨーク・ファッション・ウイークで予定していた小規模なファッションショーの予約をすべてキャンセルすると発表。秋冬物コレクションは、発売時期に合わせて9月に行うとした。

「店頭発売のタイミングでコレクションを発表することにより、ファッションショーやイベントによって作り出された盛り上がりを、売上増やすぐに服を買って着たいという消費者の欲求を満たすことにつなげられる」と、フォードは声明で述べた。

その一方でバリ発の新興ブランド、ヴェトモンは米ヴォーグ誌に対し、来年から2月のショーを1月に前倒しする計画を明らかにした。そこで発表された新作は2月には発売されるという。

とは言え、こうした変化はアパレル企業にとって容易ではないかもしれない。特にロンドンではそうだ。

これほど大がかりな動きに出られたのは資金力があり、生産から販売までの垂直統合が進んでいるバーバリーだからだ。バーバリーは直営工場をいくつも持ち、売上の70%は直営店から得ている。だが規模の小さい独立系のデザイナーは流通を卸売業者に依存しており、ファッションショーから発注、生産まで約半年の猶予期間がどうしても必要となる。小規模なデザイナーブランドが今後、どうやって対応していくのかは現時点では不明だ。

もっともバーバリーも、先陣を切ってファッションショーのシステムを変えていくことによりもたらされるさまざまな問題をどうやって解決していくのか、はっきりとはわかっていない印象だ。たとえばファッション誌の春夏物特集に自社製品を載せてもらいたくても新作発表が間に合わないとなれば、いったいどういうことが起こるのだろう。

経営幹部は多くの関係企業が乗ってくれれば連鎖反応が起きるはずと期待を寄せる。既存のシステムが固定化しすぎて変わらず、孤立してしまうリスクもある。

新しいタイプのファッションショーがお目見えするのは9月。それまでは試行錯誤が続くはずだ。

(執筆:Vanessa Friedman記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2016 New York Times News Service

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