国会議員の不倫が重要ニュースに昇格した!

フジが越えた「ゲスなニュース」の一線

たとえばかつて自民党では中川秀直幹事長や山崎拓幹事長の愛人にかかわるニュースが出てきたことはあるが、それは愛人を持っていた、ということだけをテレビや新聞が追及したのではない。中川氏の場合は、右翼団体との交際が問題とされ、秘密にすべき捜査情報を愛人に漏らしたとされたことが辞任の引き金になり、新聞もテレビもニュースとして報じたのは本人が認めてからだった。

山崎氏についても、愛人問題を週刊誌に報道された山崎氏が出版社を提訴したことにより、初めて新聞やテレビのニュースになった。その後、愛人の女性が外国人特派員協会で記者会見をした時もニュースにはなっている。

しかし、今回のフジテレビがやったように、愛人を自宅に連れ込んでいたという疑惑そのものをストレートにニュースにしたのはテレビ報道の歴史上で初めてのことだと思う。

第二点も、きわめて重要なポイントだ。この日のフジテレビのニュース報道は、情報源が他のマスコミ(スポーツ新聞や週刊誌)であって、フジテレビ自身がウラを取ったのかが怪しいという点で、自社でウラを取ってから伝える、という「報道の常識」から逸脱していた。

フジテレビのニュースは、当初は情報の根拠を「スポーツニッポンが報じている」(FNNスピーク)としていたが、そのスポーツニッポンの記事は「週刊文春がこの“ゲス不倫疑惑”の一部始終を、あす10日発売の『週刊文春』が報じるとの情報がある」というもので、週刊文春側は“スクープ泥棒”だとして後からスポニチに対して抗議している。

フジテレビの夕方の「みんなのニュース」では、6時をまたぐトップニュースがこの不倫ニュースだった。見出しも「“育休議員”妻出産前に女性タレントと“不倫”」となっているが、この時点ではニュースソースとしてはスポニチの名前は消えてしまい、「週刊文春WEB」がこう書いていると明示している。

ウラを取ることの重要性

それにしても自社でウラを取らないで報道していたとすれば、これまでの「報道の常識」から見ればありえないことだ。 当たり前だが、テレビでも新聞でも「ニュース」として報道するからには「○○新聞にはこんな記事が書いてあります」「週刊誌××にはこんな記事が書いてあります」だけでは足りない。

自分の会社でも「ウラを取る」、つまり「事実かどうか確認する」という前提があって初めて報道する。それはフジテレビに限らず、NHKでも民放でも大手新聞社でも同じだ。もしもウラを取らないで事実ではない情報をニュースで流してしまった場合、報道機関としての信頼性を問われる事態になりかねないし、放送局であればBPO(放送倫理・番組向上機構)などが審議するケースもある。 

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