国会議員の不倫が重要ニュースに昇格した! フジが越えた「ゲスなニュース」の一線

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フジテレビはなぜそんな“ルール違反”ともみられかねないリスクを冒してまで報道に踏み切ったのだろうか。ノンフィクションには定評がある週刊文春が証拠写真まであるとして報道したのだからまさか嘘ではあるまいと考えたのか。それとも事実として間違いないという確信を別につかんでいたのか。当日のニュース映像を見るだけでははっきりしない。

ただ、フジテレビはこの不倫疑惑が発覚する前に当の宮崎謙介議員と妻の金子恵美議員の私生活を以前、密着取材していて、彼らの映像素材を他局以上に持っていたことで、この問題を他局以上に大きく報じたいモチベーションがあったのだろう。一議員に過ぎない男の不倫問題であるにしても、「女性活躍」を標榜する政権を支える与党議員で「男性議員としての初の育休取得」を公言していた人物であったということも、「重大性」を意識させる理由にはなったのだろう。

この日の朝、宮崎議員にコメントを求め、彼が「お騒がせして申し訳ございません。(事実関係については)また説明します」と答えたことで、当人に当てたともいえる。これをもってして、報道取材としての手順は踏んだ、ということにした可能性がある。

ただ、事実かどうかが本人の口から確認されていない状態だ。週刊文春と違って証拠を持っていない段階でこれほど大きく報道するのは、尋常ではない。

その後、2月11日にフジテレビがニュースの情報ソースとして使った週刊文春は、「育休国会議員の“ゲス不倫”撮った」という見出しの記事を載せて発売された。その翌12日午前、宮崎謙介議員は記者会見を行って不倫疑惑が事実であったことを認め、議員辞職を表明した。

他の局は辞職表明を確認してからニュースに

NHKを含めて各社は昼ニュース以降、この「不倫問題で議員辞職」(日テレ)、「女性関係の報道で議員辞職表明」(NHK)とニュースを各社が報道したが、フジテレビを除く社がこの不倫問題をニュースの枠で伝えたのは初めてだった。各社とも、これまでの報道の常識を遵守して、辞職表明を確認してからニュースで報道したのだ。当然ながらこういう事態を迎えれば、安倍政権への打撃など、ニュースとして報道すべき内容になるからだ。

この日の昼ニュースのなかでも突出していたのはフジ「FNNスピーク」だった。夕方と比べると20~30分程度と時間が限られている昼ニュースの時間枠。他社が長くて2、3分程度だったのに、フジは冒頭から全体の半分近い11分以上を費やして宮崎議員の辞職関連を伝えていた。まるで自社のネタが弾けた、とはしゃいでいるかのようだった。

ちなみにこの日の午前は、株価が急落して株価が1万5000円を割り込み、円高も進むなど大きなニュースが相次いだが、フジはこのニュースの後に回した。

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