電通の苦闘--プライド捨て小口営業で地べた這う《広告サバイバル》

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ネットは敵ではなく味方 高給維持は微妙な時代に

キーワードは、「クロスメディア」である。消費が成熟化し、製品の差別化が難しい時代。そのような中でたとえば自動車メーカーが新車を発売する際、開発物語を自社のウェブサイトに載せ、消費者にアピールするなど、ネットはマス広告では表現しきれない詳細な情報、仕掛けを満載することができるのが強みだ。そしてウェブという自社媒体を持った企業は、いかにここへ消費者を誘導するかに腐心するようになった。

「そのとき、マス広告は活躍できる」というのが電通の出した答えだ。広告の理論では、「欲しい」と思わせ、そのことを「記憶」させ、「購買行動」に移ってもらうプロセスの前に、「注意」を引き、「関心」を持たせるという前段階が存在する。この「注意」「関心」の局面において、ブランディングを含めたマス広告の強みは生かせると、電通は考える。

つまりは、ネットとマス広告は共存できる。この方針の下、電通は08年3月にネット広告ベンチャーのオプトと資本提携を拡大、さらにこの7月には同業で傘下のサイバー・コミュニケーションズを完全子会社化する。「数年前から投資家向け広報で、ネット広告媒体(制作費含まず)のシェア2割を目指すと言ってきたが、電通グループの単純合算なら現在でも2割に近い」(今泉睦インタラクティブ・メディア局次長)。

もはや今後の狙いは、単純なシェア拡大ではない。ますますネットとマス広告、屋外の販促活動が連動する統合的なマーケティングのニーズが拡大する中で、いかにトータルな提供力を高めるかが電通の課題。オプトから56人を電通に出向させたのもネットのノウハウ吸収のため。昨年、ヤフーと共同でサイトを検索すると、関連するテレビCMも一緒に流れる「スポット&サーチ」という新型広告を開発するなど、米グーグルなどの独壇場だったネット広告の開発でも、マス広告に強い特徴を生かして攻勢をかけたい考えだ。

5月12日の決算説明会の席上。高嶋社長は7月に発表予定の新中期計画に、総人件費抑制策を盛り込むことを示唆した。新戦略を進めても、利益率の高いマス広告の比率低下は避けられそうにないため、自然な流れとは言える。しかし、人材こそ最大の経営資源である広告会社にとって社員報酬の見直しは両刃の剣にもなる。

変化への対応と人材確保とのバランスをどう取るのか。経営は厳しい舵取りを要求される。

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(週刊東洋経済)

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