【産業天気図・家電・AV】長引く消費不況で雨から曇り、コスト改革と新市場開拓がカギ
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
世界的な消費収縮で打撃を受けた家電・AV業界は2009年度、在庫調整一巡の効果で業績急悪化に歯止めがかかりそうだ。ただ、消費の本格回復にはまだ遠く、業界天気図は09年度前半は依然「雨」が続くが、後半は雨に近い「曇り」と前回予想(3月)からは若干回復する見通し。主要企業は中期的な消費不況に備えコスト構造改革を断行、利益を確保する見通しだ。
財務省輸出貿易統計によると薄型テレビやカーオーディオといった民生用電子機器の輸出額は4月、851億円となった。前年同月比では59.8%で、3月から13ポイントの大幅改善となった。44%だった2月が在庫調整の底だったと見られる。
だが、家電の主要消費国である米国で家計部門のバランスシート調整が続く見通しであることから、世界需要の本格的回復にはまだ時間がかかりそうだ。日本国内においては現在、省エネ家電の購入促進政策(エコポイント制度)が消費を刺激しているが、需要を先食いする性質の政策だけに、夏のボーナス商戦以降の需要息切れが懸念される。
こうした環境の中、国内主要3社(ソニー<6758>、パナソニック<6752>、シャープ<6753>)はいずれも09年度業績を、減収増益(または赤字縮小)と想定している。業績を左右するテレビ事業についてソニーとシャープが前期から横ばいの販売台数を見通すなど、製品販売そのものは大きな期待をかけていない。また、1ドル93~95円の円高想定も減収の背景となっている。
一方で、各社とも前期の設備減損や、今期を通して行う生産合理化等のコスト構造改革効果で収益が改善するという想定だ。こうした構造改革効果は期末に向けて尻上がりに発現するだろう。