3つめは、正しい権限委譲。ピーター・ドラッカーが「人を育てる最も効果的な方法は、任せることである」と言うように、任されるということは、信用された証ですから誰だって嬉しいもの。任されて難しい目標に挑戦することで、伸びるんです。
4つめは、「8褒め2しかり」。褒めと注意のバランスが大事です。日本はゼロ褒め10しかりやゼロ褒めゼロしかりなんて人がいます。部下がいい仕事をしたら賞状なんて渡さなくていいから、一言その場で軽く褒めて信頼関係を作ることです。怒るのは感情、しかるのは愛情だということを忘れずに。
5つめは、公正な評価と処遇。年齢、社歴、学歴は関係ありません。きちんとプロセスを経ながら出した結果をフェアに評価すること。
この5つをやれば、社員の目の色が変わると思いませんか。社員の目の色が変わると部門の業績が変わり、最終的には会社の業績が変わります。
--部下にもいろいろなタイプがいます。リーダーとしてどのように対応したらいいでしょうか。
マインドを縦軸、スキルを横軸にしたマトリックスで「人ザイ」を考えてみましょう。スキルもマインドも高い「人財」には仕事を目いっぱい任せることです。スキルはあるけど自ら手を挙げない追随者的な「人在」は、企業の80~90%を占めますが、モチベーションを高めればいい。やる気があってもスキルが低いビギナー的「人材」は、スキルトレーニングをして下さい。
最後は、組織に2~3%はいるスキルもマインドも低い「人罪」。モチベーションアップとスキルトレーニングを施し、いくらやってもダメならお引き取り願いましょう。相手によって接し方は変わっていいということです。まずは自分がこのマトリックス上でどの「人ザイ」なのかを把握し、能力開発のポイントを絞って具体的なアクションに落とし込むことが大事です。
(写真:今井康一)
1936年東京生まれ。早稲田大学卒業後、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスを含むグローバル・エクセレント・カンパニー6社で40数年にわたり社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年より住友商事を含む数社のアドバイザリー・ボードメンバーを務める。長年の経験と実績をベースに経営者、経営幹部を対象に経営とリーダーシップに関する講演・セミナーを通じて国内外で「リーダー人財開発」の使命に取り組んでいる。また“エグゼクティブ・メンター”として経営者・経営者グループに対する経営指導・相談の役割を果たしている。実質的内容の希薄な虚論や空論とは異なり、実際に役に立つ“実論“の提唱を眼目とした、独特の経営論・リーダーシップ論には定評がある。著書・CD教材多数。近著『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』(ランダムハウス講談社刊)は、悩み多き部課長だけでなく、現役経営者、これからリーダーになる若手ビジネスマンの間でも話題。
■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。
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