家を「断捨離」すれば子どもの学力は伸びる! 親子で「考える力」を養う訓練になる

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考える力を鍛えるには、自分軸すなわち「主体性」をともなうことが必然となります。モノと向き合って断捨離するときに、「モノがまだ使えるから」「モノがもったいない」などとモノが軸になったり、「過去の自分がよく使ったモノだから」「将来の自分が使うかもしれないから」と過去や将来の自分が軸になったりするのではなく、あくまでも「現在の自分」が軸になることが大切です。そのような自分軸で思考・選択・決断を繰り返すことで、考える力はみるみる高まるのです。

子供が「自分軸」で最終決断することの重要性

「自分軸」で思考・選択・決断を繰り返す断捨離を親子で実践するには、どうすればいいのでしょうか。

まず断捨離で、絶対に忘れてはならない大切な原則を踏まえておきましょう。それは「最終的な決断は本人が下す」ということです。モノを捨てるか、残しておくかを決断するのは、そのモノの所有者だけ。つまり子供のモノを親が捨てたり、「捨てなさい」と子供に命令してはいけないのです。

同じ屋根の下で暮らす家族といえども、また親が子供に買い与えたモノといえども、子供が所有するモノは、あくまで子供のモノ。親の目から見れば価値がなく不要に思えるモノであっても、子供にとっては大変価値があって必要不可欠なモノかもしれない。いや、むしろ、そうであることが多いのです。

親が子供を手助けしてあげたい気持ちはわかります。しかし、子供の意志をないがしろにして手助けするのでは、単なる親の自己満足になってしまいます。あえて〝手助けしない勇気“が親には必要なのです。

親があれこれと先まわりして押しつけては、子供は受け身の“指示待ち族“になってしまいます。それではこれからの「考える力」が試される受験、その先の社会生活でつまずく土台づくりをしているようなもの。ですから断捨離によって、子供が自分軸で選びとる機会を意識してたくさんつくっていくとよいのです。

親による不適切なサポートは考える力の妨げになるばかりか、考える力そのものにフタをしてしまうことにもなりかねません。また、親の軸で子供のモノを思考・選択・決断するのでは、子供の考える力が鍛えられないばかりか、子供の自尊感情さえ阻害してしまいます。深層心理で自分を好きになれない子供は、自信を持って思考・選択・決断することができません。

もちろん、子供のモノであっても「お母さん(お父さん)は、要らないと思う」と親の軸から意見を伝えることは結構です。ただし、親の意見をくみとるかどうかの決断は、子供の自分軸に全面的に委ねます。ここが重要なポイントです。

親はどうしても子どもに自分の意見を反映させようとしがちです。「未熟な子供の判断より、人生経験豊かな親の判断のほうが正しいに決まっている」という潜在的な意識がそうさせるのです。親が一度立ち止まってそのことに気づき、認識して、自制してみましょう。そして、思考・選択・決断を子供の自分軸に全面的に委ねてみるのです。

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