家を「断捨離」すれば子どもの学力は伸びる! 親子で「考える力」を養う訓練になる
ご存じの人も多いと思いますが、2020年を目途に「大学入試センター試験」が廃止されます。そして大学入試に求められる能力が、これまでの「覚える」から「考える」へと大きく方向転換されることで話題になっているのです。2016年2月現在、中学1年生の子からこの新たな受験システムの対象になるので、いまから準備をしておく必要があります。算数の「1+1=2」や歴史の「年号」のように“唯一絶対の正解“を「覚える」ことは、ある程度のテクニックによって解決できます。しかし、これから導入されようとしている「考える」という入試は、塾で教えてくれるようなテクニックだけでは対処できません。
この入試制度の大変革に立ち向かうには、 幼児・児童期から高校まで「公式や正解、解き方を覚える」という知識量だけでなく、「自分の頭で考えて、自分で創意工夫する」という思考力や発想力、表現力をつけることが必要になります。そして、それには親の関わり方がとても重要になるのです。親だけでなく、祖父母が一緒に住んでいる家庭であれば(もちろん先生にも)、必要なのは正解や解き方を覚えさせることだけでなく、「子どもが自分の頭で考えて、創意工夫する力を養う」ように導くことです。
これから4、5年後に“受験勝者”の質が、大転換することになります。そのときに、断捨離が非常に役に立つと考えています。なぜなら、断捨離をすることによって、自分で感じて、自分の頭で考え、自分で選択、決断していくという、これからの学力を根底から下支えする能力が身に付くからです。思考や発想、表現の選択肢を増やせるともいえます。
日常生活で親が子を導き、子供が嬉々として断捨離をすることによって、思考が片付き、気持ちが調い、学力を育んでいく。また、親にとっても創意工夫して仕掛けを考えていくという楽しさが生まれますし、親子関係を良好に保つ一助にもなります。将来をたくましく生き抜くための子育ては、親子のチームワークなくして成功しないのです。
断捨離は絶好の「考える」トレーニング
「断捨離」という言葉を分解して説明しましょう。
「断」は不要な物事をとり入れないこと、「捨」はお気に入りを絞り込むこと。この「断」と「捨」のプロセスを経たそれぞれの境地が「離」です。何を取り入れ、何を「断つ」か。何を残し、何を「捨てる」か。それぞれを自分の頭で考えて選択と決断を繰り返す。そこから導かれる「離」は、その人の自尊感情(自尊心)を生みます。
つまり、自分自身を理解し、大切にするようになっていくのです。誰もが取り組みやすくするため、断捨離は目に見える「モノ」からアプローチしますが、その先には目に見えない「思考」や「気持ち」の質の向上があります。モノの片づけからはじめて、空間が片付いて整えば、思考が整います。そして、思考が整えば、気持ちも整う。
この好循環のなかに、「考える力」を鍛える機会がふんだんにあるのです。モノを足がかりに「考える力」を鍛える。そして、自分とモノとの関係性を改善しながら、考える力を鍛える舞台(空間)を快適にするわけです。モノを片づけることは大切なことですが、それは断捨離の目的ではありません。
自分自身が判断の基軸となり、自分の頭で「自分に要るか」「自分にふさわしいか」「自分に心地いいか」を思考・選択・決断する。そうやって、「自分軸」で考える力を鍛えていくのです。