「仕事だけ人間」は部下の力を伸ばせない 「部下の人生にコミットする力」はあるか?

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――部下を理解しようとしたら、話さなければダメだと。

その通りです。コミュニケーションを面倒臭がらないことです。

いちばん身近な人たちに関心を示しもしない人間が、身近な人たちを幸せにできるはずがない。

女性の使い方が上手い人間というのは、女性だけでなく、人の使い方が上手い人なんです。上司でも、部下でも、家族でも、みんなに対して適切に接するだけの器量があるんですよ。

20人の部下を率いる人間であれば、20人全員の面倒をみなければならない。男女ひっくるめて、仕事のできる人もできない人もひっくるめて、上司はすべての部下に責任を負っているんです。だから私は、部下の人生にコミットしろと言い続けているのです。

上司は部下の話にもっと耳を傾けるべきです。「そんなことで悩んでいたのか」と気付くことがいっぱいあるはずですよ。

たとえば、子育て中で残業するのが難しく、時間のやりくりに苦労しているのかもしれない。だったら、その女性のすぐ上の立場の人間にそういう情報をインプットしてあげればいいでしょう。情報の共有化ができれば、その社員をフォローする人も現れ、チームとして助け合う雰囲気が生まれるものです。

結婚・出産後も正社員として働き続けた場合と、結婚・出産を機に非正社員になって働き続けた場合の生涯賃金額は、1億円違うという試算があります。簡単に手放してはいけません。

普通の女性に活躍の場を

――家庭か仕事かの二者択一を迫られて、多くの女性は家庭を選んできましたね。

だからこれまで組織のリーダーとなって活躍し、昇進していった女性は、最初から結婚を諦めていたり、負けず嫌いの男勝りばかりでしょう。多くの女性は、仕事か家庭かという選択に迫られて、家庭を優先せざるを得ず昇進を諦めていったはずです。

そのことを、女性実業家でフェイスブックのCOOのシェリル・サンドバーグは、著書の『LEAN-IN』で見事に解説していますよ。女性が引っ込み思案なために、いかに来た波に乗らず、チャンスを逃しているかと。だから「後ろに座るな、テーブルに着きなさい」と書いている。

――諦めるというより、昇進をいやがる女性も多いのでは。

それが最初に言った、もうひとつの女性特有の反応です。管理職にはなりたくない、忙しくなって責任が重くなるのもいやだという反応です。

現状は、まだまだ昇格することに消極的な女性は多い。

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