私大文系に通わせるなら700万円は覚悟せよ 大学の学費、トータル金額を知っていますか
親元を離れて大学生活をすると、住居費や生活費の仕送りも考えなければならない。全国大学生協組合連合会の「第50回学生生活実態調査の概要報告」によると、自宅から通学する自宅生の1カ月の生活費が5.8万円であるのに対して、自宅外から通学する下宿生の生活費は11.7万円だ。4年間にすると、自宅生約280万円、下宿生約562万円になる。下宿生の場合、このうち平均で月に約7万円、4年間に換算すると約336万円は、親の仕送りを充てている。
奨学金活用が広がる一方で子どもへの負担増
親が仕送りをする金額は年々減少傾向にある。大学生協の調査によると、1995年には仕送りを月10万円以上している親が62.4%であったが、2014年には29.3%と3割を切った。逆に増えているのが、仕送り額月5万円未満で、7.3%から23.9%と3倍以上増加した。仕送りゼロという家庭も2%から8.8%に増加している。
一方で、奨学金の比重は拡大している。1995年と2014年を比べると、月に5~7万円の支給を受けている下宿生は7.1%から18.3%、月7万円以上受給している下宿生も0.9%から9.6%と増加している。
大学生の収入といえば、アルバイトも大きい。アルバイト収入がゼロという下宿生は44.8%から34%に減少しており、6割以上はアルバイト収入を得ている。しかもその使い道として、28%が「生活のゆとり」を挙げており、仕送りの減少を奨学金やアルバイトで補っている構造が見て取れる。
大学生の生活にかかるおカネは、必ずしも親がすべて負担するわけではない。しかし、親元を離れて暮らすケースでは、経済的な負担が子どもにかかる割合が高くなる傾向もあることを知っておきたい。
奨学金やアルバイトは子どもが自分の名義で収入を得て管理するものだが、親の管理下にない分、一歩間違うと問題を起こしかねないことがある。筆者は大学生を対象におカネの使い方や奨学金のしくみを解説する授業を行っているが、大学の担当者からは、本来勉学に充てるべき奨学金を遊びに使ってしまい、授業料の未納、奨学金の返済滞納をする学生が増えているという話を何度も聞いたことがある。
また、授業料を払うためにアルバイトに精を出し、その結果授業を欠席し、大学生活についてこられなくなる学生も少なくないという。やがては退学してしまうケースも珍しくないようだ。大学に行くためにアルバイトをしているにもかかわらず、それゆえに勉学に行き詰まり、本末転倒な結果を迎えてしまうのだ。
奨学金やアルバイトの収入は、大学生活の足しとしては有益だが、それありきで進学先を決めてしまうと、勉学よりも経済的な安定を優先させてしまう恐れもある。大学でかかる費用の実態をよく理解し、親にとっても子にとっても負担のない進学先を選ぶことが重要だ。
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