トヨタ「クラウン」は、憂鬱を脱したのか 大胆チェンジからの3年を振り返る
あれから3年――。クラウンは「憂鬱」を脱したのだろうか。年ごとの登録台数を見てみると、興味深い事実が浮かび上がってきた。発売直後年の翌年から販売台数が減少する傾向こそ従来と変わらないものの、その落ち込み方は13代目よりも緩やかで長期低落傾向に歯止めをかけてきたと評価できるのだ。
クラウンは新型が出るたびに、同じクラウンの旧型から乗り換える、いわゆる代替需要が多い。1955年誕生以来、60年以上にわたる歴史は、こうしたユーザーに支えられてきた。その代わりに新型登場後は、次のモデルチェンジまで販売台数が減り続けるのが通例だった。途中でマイナーチェンジを実施してテコ入れを図っても、流れを止めることは難しかった。
これは多くの車種に共通する現象だ。クラウンの場合、以前からユーザーの平均年齢の高さも懸念されていた。それがモデルチェンジ時の数字さえ代を追うごとに減少しつつあるという状況になってしまっていた。車種存続のためには、新規ユーザーを取り込むことが必須だった。そんな危機感のもとに実施された2012年12月のモデルチェンジで、クラウンからクラウンへと乗り換える以外のユーザーをつかんでいると想定される。
CMで注目を浴びた「リボーンピンク」
トヨタは2011年10月から、ReBORNというキャッチコピーを使った企業CMをスタートしている。同年3月の東日本大震災で東北を中心に甚大な被害に遭ったことを受け、東北の復興と日本の再生をメッセージに込めた。そして現行クラウンもまた、ReBORNを掲げた。クラウンも再生が必要だと認識していたからだ。
それを象徴するのが、グリルを下まで伸ばした大胆な顔付きであり、CMに起用されたその名も「リボーンピンク」のボディカラーだった。ちなみに章男社長は現行型のグリルを見るなり「WOW!(ワオ!)」と発したという。
「WOW!」は章男社長が好んで使うフレーズであり、最大級の賛辞だ。2015年秋に開催された東京モーターショーのトヨタブースのキャッチコピーにも、「WHAT WOWS YOU?」とこの言葉が使われていた。当初はCM限定だったピンクのボディも、章男社長が気に入り、市販化が決定したという。
色に関してはその後2015年1月に、クラウン誕生60周年記念として、空色と若草色を1カ月限定で設定。同年10月のマイナーチェンジでは、茜色(あかねいろ)、群青(ぐんじょう)、胡桃(くるみ)など12色を、ジャパンカラーセレクションパッケージとして設定した。
一方の4気筒エンジンは、ユーザーの燃費への関心が高まったことに加え、欧米のプレミアムブランドがターボの採用によるダウンサイジング戦略を打ち出してきたことへの対抗もあったはずだ。
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