トヨタ「クラウン」は、憂鬱を脱したのか 大胆チェンジからの3年を振り返る

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広報部のデータによれば、マイナーチェンジ後の個人ユーザーの受注データを年齢層別に見ると、ロイヤルは60代以上が約75%に達しているのに対し、アスリートは60代以上が約40%、50代が約30%、40代が約20%と、アスリートのほうがロイヤルより年齢層がかなり若くなっている。これはデザインだけでなく、前述したリボーンピンクやジャパンカラーセレクションが、アスリートのみの設定だったことも大きい。

ハイブリッドの4気筒化も成功した。発売後1カ月の受注状況で全体の3分の2を占めていたからだ。現在のクラウンのユーザーは、気筒数や排気量にあまりこだわっていなかったといえるし、4気筒となったからこそ新しい顧客を獲得できたかもしれない。

2015年には2000ccの直列4気筒エンジンを搭載

自信をつけたトヨタは、2015年のマイナーチェンジでは、これもクラウンでは久々となるターボを2000ccの直列4気筒エンジンに搭載した。2000cc4気筒ターボエンジンといえば、BMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスなど、クラウンと同価格帯に属する欧米プレミアムブランドが積むダウンサイジングターボと一致しており、対決の姿勢は明らかだ。そして、一昔前のトヨタなら高出力を追求するスポーツモデルに搭載していたターボのクラウン投入もまた斬新だった。

ちなみにリボーンピンクのボディカラーは、2013年9月に1カ月限定で注文を受け付けた。受注台数は650台と、この月のクラウンの登録台数6389台の1割以上に相当したというから驚きである。

さらに注目すべきは、リボーンピンクを注文した個人名義のユーザーのうち30代以下が18%、40代が24%を占めたことである。上に挙げた通常のアスリートの数字と比較すると、若年層の多さに気づくはずだ。おそらく初めてのクラウンとしてリボーンピンクを選んだ人も多かっただろう。

バブル後に低落してきたクラウンが、息を吹き返した時期がある。2003年に全面改良して登場した12代目だ。それまでの重厚なデザインから一新「ゼロ クラウン」の名称で久々のヒットとなった。一方、前回2008年に登場した13代目は、比較的おとなしいデザイン変更にとどめたこともあってモデルチェンジ効果が薄く、販売成績も振るわなかった。

現行14代目クラウンはゼロ クラウン以来の変化を起こしつつある。「もっといい車を作ろうよ」という章男社長の号令のもと、デザインやカラー、メカニズムなどあらゆる面で挑戦をしたことが、結果に結び付いているようだ。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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