トヨタ「クラウン」は、憂鬱を脱したのか 大胆チェンジからの3年を振り返る
ひと昔前までは、車はエンジンもボディも大きいほうが偉いという考えが一般的だった。とりわけクラウンのような高級車では傾向が強かった。そしてエンジンの主要機構のひとつであるシリンダーの数、つまり気筒数が多いほうが、エンジンの動きは滑らかになるため、高級車には6気筒や8気筒などの多気筒エンジンが搭載されることが多かった。
そこへ欧州勢が、結果的には失敗に終わったディーゼルに続く戦略として打ち出したのが、エンジンの排気量や気筒数を少なくして、その代わりに過給器(ターボチャージャー)で出力を補うダウンサイジングだった。
火付け役はフォルクスワーゲン(VW)だったが、まもなくアウディ、BMW、メルセデス・ベンツといった同じドイツのプレミアムブランドも追従し、最近はジャガーやキャデラックなどほかの欧米車にも波及している。
一方のクラウンはモデルチェンジ前まで、自然吸気の大排気量エンジンにこだわっていた。先代で初登場したハイブリッド車も、モーターと組み合わせるエンジンは排気量3500ccのV型6気筒だった。ダウンサイジングに新しさを感じたユーザーが、クラウンと欧州車を比較して、欧州車に流れた事例はあったはずだし、若いユーザーは最初からクラウンに見向きもしなかった可能性さえある。
4気筒ハイブリッドをクラウンに搭載
そこでトヨタは、カムリなどに積んでいた2500cc直列4気筒にモーターを組み合わせたハイブリッドユニットを、初めて縦置きとしてクラウンに積むという決断を下したのである。
現在のクラウンは、フォーマルな「ロイヤル」シリーズと、スポーティな「アスリート」シリーズの2タイプがある。2012年のモデルチェンジの前後で、この2タイプの比率に変化が生じている。
「現行クラウンのモデルチェンジ1カ月後の受注台数は2万5000台で、ロイヤルとアスリートの比率は4:6と、旧型の同時期とは逆にアスリートが上回りました。さらに2015年10月のマイナーチェンジ後12月までの登録台数1万1130台では、アスリートは約66%を占め、比率がより高まっています」(トヨタ自動車広報部)。
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