総務省「労働力調査」によると、パート、アルバイト、派遣、契約社員などの非正規の職員・従業員は2008年平均で1760万人、雇用者全体に占める割合は34.1%に達した。02年からの6年間に309万人、4.7ポイントもの増加である。
職業別では、派遣法改正を受けて派遣者数が急増したのが、製造業を中心とする「生産工程・労務作業者」。増加数(100万人)は、全業種の中で最多だった。生産工程・労務作業者全体では微増にとどまっており、この間に正規から非正規へのシフトが進んだこともわかる。
これに対し、雇用面で日本経済におけるウエートが高まっている医療、教育、情報通信、機械系製造業、専門性の高いサービスといった「専門的・技術的職業」や、介護など福祉関係を含む「保安・サービス職業」の場合は正規雇用も拡大傾向だ。このため、非正規の増大ぶりがさほど目立たないが、この6年間の増加率は生産工程・労務作業者を上回る25%前後、実数もそれぞれ172万人と353万人に達している。1995年の日経連の提言にあった「高度専門能力活用型」による労働力の弾力化が浸透したといえよう。
それだけに、非正規の削減に頼った雇用調整の実施は企業や事業を支える現場力や技術力の毀損につながりかねない。不安定で低位な労働条件にある働き手、そして正規雇用者の労働負荷が一向に低下しない状況を放置することは許されない。
(東洋経済統計月報編集部)
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