32.3%--40代の魚介類摂取量減少率(1997-2007年比)《気になる数字》

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 水産庁は先頃公表した「水産白書(2008年度)」において、調理時間の減少や孤食の増加といった食生活環境の変化を背景に子どもの“魚離れ”が進行していると指摘し、発育面などへの悪影響を危惧している。確かに、厚生労働省「国民健康・栄養調査」を見ると、魚介類の1日平均摂取量は1997年から2007年の10年間に1~19歳で2割超減少。一方、肉類の摂取量は1割以上増加している。

もっとも、こうした魚介類摂取量の減少と肉類の増加という傾向は、子どもに限ったことではない。同期間の魚介類摂取量の減り方が最も大きい年齢層は実は40歳代で、30歳代がこれに次ぐ。40代の場合、摂取量は109.6グラムから74.2グラムに減り、減少率は32.3%にもなる。肉類摂取量の増加も特に男性で著しく、全年齢層より2年早く04年には肉類の摂取量が魚介類を逆転している。

そもそも子どもの魚離れとはいっても、食材・食品購入、調理、外食をはじめ食事を用意するのは、多くの場合親である。また、食事の内容や献立に子どもの好みが反映されるとしても、子どもの嗜好が形づくられる過程で、親が用意する食事が大きな影響を及ぼしているのは間違いない。親世代の中心である30代・40代の状況に手をつけなければ、子どもの食生活環境の改善は望み薄だ。魚介類を敬遠しているのは子どもたちの親である。

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