ニトリ創業者「豪快なだけじゃない」劇的半生 似鳥昭雄氏は、どこまでも戦略家で情熱家だ

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アルバイトでスナックの取り立て屋をした話、起業後すぐに浮気して頭を地面にこすりつけながら奥様に謝った話など、あえて語るべきエピソードとも思えない。おそらくサービス精神が旺盛すぎるからだとは思うものの、ニトリのパブリックイメージを壊さないかと心配になったほどだ。

しかし、このような豪快さは似鳥氏の一面ではあろうけれど、似鳥氏は家具販売の業界においてたしかに業績を残している偉人2人のうち1人である。1人は、大塚家具の創業者・大塚勝久氏で、もう1人が似鳥氏だ。

大塚勝久氏の情熱、似鳥昭雄氏の無為

大塚氏の家具販売における画期的な手法は2つ。1つは、家具メーカーからの直接仕入れ。もう1つは、実売価格にあわせた価格表示だった。

今では当然のように思える直接仕入れも、もとは大塚氏が切り開いたものだ。もともと家具業界は、地方ごとに卸が支配しており、直接取引はきわめて難しかった。しかも大塚氏は、自らリスクをとり買い取り仕入れを始めた。それまで、売れ残った家具は返品する委託販売方式が主流だったところ、販売してみせるという信念で仕入れ、そしてメーカーを直接取引に動かした。

また後者の価格表示について、それまで価格と値引き販売することが前提になっていた。もともと市価の値崩れを嫌った業界慣習だったところ、大塚氏は展示時点からギリギリの表示をはじめた。大塚家具は会員制が有名だが、むしろ、この価格表示政策ゆえに潜在顧客をまず会員なってもらい、会員“のみ”に価格を見てもらう必要があった。それは家具職人の血を引くものとして、優れた家具を日本中に行き渡らせねばならない、という情熱に支えられたものだった。

一方の似鳥氏だ。日本の家具業界に大きな変化をもたらした2人のうちの1人である似鳥氏は、起業について「商売はなんでもよかった」とまで言っている。自分のまわりに住宅は多いのに、家具屋が少ないことに気づき、生業として家具屋をはじめ、「家具の将来や可能性などは何も考えていなかった」と何度も正直に告白している。

ニトリの先見性

23歳で創業してすぐ、信頼のない似鳥氏は現金を持って問屋をめぐった。それは同時に安価な仕入れを狙っていた。とはいえ、家具についての知識がなかったため、問屋に値付けしてもらったこともある。

似鳥氏は次にメーカーをめぐることになる。大塚氏と同じく、鬼才は遠く離れた場所で同じ手法を模索した。メーカーからの直接仕入れだ。

似鳥氏の発明は、仕入れ時期にあった。メーカーは1月くらいに家具の売上高が最も下がる。そこに現金を持って現れ、家具を買い取ったのだ。やはり当初は問屋に悪いからと直接仕入れに応じなかったメーカーも、徐々にその姿勢を軟化させていく。

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