CSRでは、会社を取り巻く関係者(「ステークホルダー」という)を意識して企業活動を行い、情報を開示することが大切とされている。有力なステークホルダーである従業員と将来の従業員(大学生や中途採用候補者など)を気にかける会社はほかの面でも「信頼性が高い」ことが多い。
給与の金額はもちろん高いに越したことはないが、これまで評価項目として使ってきた経験では首都圏や関西圏などの都市部では「30万円以上」が比較的待遇がよい優良企業の目安と考える。ただ、「注」もあわせて読んでもらい、基本給以外が多く含まれている場合は若干割り引いて考えた方がよい。
1~4位は50万円を超える
ところで、金額が多すぎる場合は少し注意が必要だ。ランキング1位のKDDI(時間外手当および賞与を含む)、2位双日(時間外手当等を含む)など4位の野村総合研究所まではいずれも50万円を超えているが、基準が若干異なるケースも多い。
ランキング上で気になる会社があれば、上場企業なら基本的に開示されている平均年収・平均年齢との比較をしてほしい。まず平均賃金を12倍する。そこからボーナス額を加味(たとえば、春夏2カ月分と仮定して年間4カ月を足すなど)した金額を平均年収と比較。
さらに平均年齢が30歳とどのくらい離れているかも見て妥当性を判断する。平均年収は大卒以外の社員も含まれるので学歴による差にも注意したい。
なお、「最高」金額が極端に高い会社は営業などの出来高部分が比較的多い給与体系と考えられる。「最低」金額が極端に低い会社は休職中社員などが該当するケースが多い。「差が小さい平等な会社」がいいのか、「成果が上がればドカンともらえる会社」がいいのかは個人それぞれの判断。じっくり考えよう。
さて、ここまで読んで「ひとつのデータを見るだけでこんなに気にしなければいけないのであれば全社同じ基準で調査して欲しい」と思った人も多いかもしれない。
しかし、残念ながら開示の基準を示しても(もちろん『CSR企業総覧』の調査でも示している)各社の事情によりそのベースで出せないことはよくある。その際、「ベースが異なるため開示しません」と言われるよりも、可能な範囲で出していただくほうが意味はあると考えている。
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