波乱相場で絶好の仕込み場がやってきた 大転換点を迎え個別銘柄の戦いが始まる

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渋澤:年初に、株価は良くて横ばいと思っていました。年が明けてから市場はかなり下げたので、目先的には底を打ち少し戻ると思うのですが、夏か秋以降は再び怪しくなると見ています。2000年以降の株価を追うと、2000年から2003年まで下げて、2004年に底を打ち、2007年まで上昇。2008年にリーマンショックが起こり、2012年までは下げ相場。2012年12月からアベノミクスで上昇局面に入り、3年が経過したわけです。

下落と上昇がそれぞれ3年ぐらいの期間で起こっていることを考えると、去年の夏の後からそろそろ季節の変わり目に入ったと思っていたのですが、「秋」が深まっている感じがしますね。秋や冬の季節に目先の収穫のことを期待するのではなく、次の季節に向けて3年ぐらいは、次の上昇季節に向けてコツコツと仕込んでいく場面だと思います。

原油安で新興国のリーダー役が変わる!?

中野:グローバルな視点から整理すると、年初からの下げは、サプライズと言うべき材料が何も見当たらないのが特徴といっても良いでしょう。確かに中国の実質成長率は7%割れが確定しましたが、それはすでにマーケット関係者が織り込んでいる水準です。それを無理やりネタにして、売り方が動いているようにしか見えません。その意味では目先、下げ相場も一段落してくるでしょう。

ただ、いろいろな意味で今年は大きな転換点になるのだと考えています。これまで新興国のリーダーだった中国は、景気循環ではない、構造問題の露呈によって、長いお休みに入るかもしれない。中国に代わる新しいリーダー役が出てくるまで、ほかの新興国も混乱の季節に入るでしょう。

為替については、円高が目立っていますが、実は米ドルやユーロも、円以外の通貨に対しては高くなっています。円独歩高ではない。それと原油もマーケットのかく乱要因になっていますが、原油安はネガティブな要因だけではありません。原油価格が下げて2年くらい経つと、産業界にとっては業績的にプラス要素へと転じてきます。

米国だけでなく、日本や欧州の先進国はエネルギー輸入国なので、原油安は減税と同様の効果をもたらします。確かに新興国における需要は落ち込むでしょうが、G7だけで世界のGDPの45%を占めていますから、原油安によってもたらされる新たな需要が先進国を中心に増えてくれば、グローバル経済はそれなりに成長を維持できると思います。

渋澤:この間、青森に行った時、現地で世話してくれた人が「灯油の値段が昨年に比べて3分の1になったから、ストーブをガンガン使っている。でも暖冬でね」と言っているのを聞きました。確かに日本の生活において、原油安は悪い話ではありません。米国のRig Count(石油の掘削装置)が2015年の年初から60%も減っているので、過剰供給は、恐らく今年の後半から来年にかけて解消されて、原油価格にも底入れ感が出てくるでしょう。これも仕込みの季節ですね。

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