波乱相場で絶好の仕込み場がやってきた 大転換点を迎え個別銘柄の戦いが始まる

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渋澤:もちろん現預金を抱えている人は反発するかもしれないけど、現預金に多額のおカネを置きっ放しにしている人って、ごく一部の大金持ちですよね。だから、たとえば預金1000万円以上に対して課税するとか。

中野:そういう人は預金から現金を引き出して、ツボに入れて埋めます。

渋澤:現金課税導入後、3年経った時点でお札を新札に切り替える。で、旧札は使えないようにしてしまう。

中野:確かに、そこまでやれば爆買いにつながるでしょう。

渋澤:親御さんが亡くなって自宅を整理していたら、押入れから現金がどさっと出てきたという話があって、その現金を銀行に預けると、贈与税が掛かるじゃないですか。だから、そのまま押入れに戻すという人が結構いるらしいのです。そういう、何かの理由で表に出て来なくなった現金を炙り出すのに、この手の政策は効果的だと思います。しかも、それが最終的に消費と投資に回れば、結果的に経済を動かす原動力になります。

安値で放置されている銘柄をピックアップ

藤野:まあ、実際にこの手の政策を実行するとなれば、さまざまなところから反発が出たり、圧力を掛けられたりするのでしょうが、消費税率を引き上げるのに比べれば、経済を盛り上げることにはつながるはずです。

中野:当面の運用についてはどう考えていますか。マーケットは弱気が蔓延していますが、安くなったところは買いだと思うのですよ。今日も運用会議が終わってから、この鼎談に臨んでいるのですが、セゾン投信は新興国市場の組み入れを少し増やし始めています。何しろ今は誰も新興国のポートフォリオを買おうとしませんから、中には、安定した成長力のある良い会社がかなり安値で放置されています。こういうものをコツコツ拾っておくことが、将来の成果につながると思うのですよ。

藤野:実は僕らは、アベノミクスの3年間、とても苦しい戦いを強いられてきました。大型株主導の相場でしたし、インデックスに負けないようにするのに苦労したわけですが、2016年は個別銘柄の戦いになるはずです。インデックスの値動きは悪いけれども、安定した需要を持ち、着実に成長していく企業を個別にピックアップして投資する、レオス本来のスタイルを活かした運用が出来るのではないかと考えています。

渋澤:コモンズはどちらかというと大型株を中心にしたポートフォリオなのですが、ここから3年間は、株価が下がったところをしっかり仕込む時期だと考えています。あくまでも長期投資ですから、次の季節に向けて、持続的な価値雑増のために進化し続けられる企業を選んで投資する。そういう企業であれば、大型株であっても下げに強い。長期投資という前提で考えれば、これからの株価下落局面は、絶好の仕込み場になるはずです。

中野:1月のマーケットはかなり厳しい状況だったと思いますが、必要以上に不安になることはありません。安くなったところは絶好の仕込み場であり、長期的な成果をもたらしてくれるチャンスだと思えば良い。これを年頭の、草食投資隊からのメッセージにしたいと思います。
 

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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