三井住友が巨額の公募、熾烈な資本増強レース

三井住友が巨額の公募、熾烈な資本増強レース

蛮行かそれとも英断か--。三井住友フィナンシャルグループは4月9日、2009年3月期決算が3900億円の大赤字に転落することと合わせ、8000億円もの巨額増資計画を発表した。

何しろ大赤字に加えて配当も減額、そして希薄化率が3割にもなる大型増資。株主からは怒りの電話が殺到したという。発表翌日に株価はストップ安となり、1週間足らずで2割近く値を下げた。

もちろんリスクは覚悟のうえ。あえて巨額公募増資に踏み切ったのは三つの狙いが挙げられる。一つは資本の「質」の改善。二つ目は公的資金に頼らないとの意思表明。残る一つが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に引けを取らない投資余力を強調することだった。

重視される資本の「質」

資本の質をめぐっては、国際的に新たな潮流が見られる。銀行監督上の資本規制である新BIS規制において、Tier�(中核的自己資本)には、破綻時の元本返済順位や利払い・配当の柔軟性の点で普通株よりも劣る優先株や優先出資証券、劣後債など「ハイブリッド資本」の計上が一定額認められている。

だが現在、欧米ではハイブリッド資本を除いたコアTierIやTCE(有形自己資本)が注目されている。TCEはハイブリッド資本を含まない資本で、繰延税金資産やのれん代などの無形資産を除いたもの。こうした指標が重視されるのは、欧米金融機関で債務超過の可能性が危ぶまれているからでもある。また、「たとえ原資が公的資金であっても、普通株ならば資本の質は良好」と、公的資金擁護論を展開したい当局の思惑も透けて見える。いずれにせよ、ハイブリッド資本比率が高い日本のメガバンクにはありがたくない傾向だ。

実際、13日には米ゴールドマン・サックスが50億ドルもの普通株増資を行い、公的資金を返済する意向を表明した。やはり政府介入は忌避したいわけだ。裏返せば、資本の質として文句のない普通株を自力で調達できる金融機関こそが、勝ち残り組の証しともいえる。

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